Kindleでも読める30年前の名作プレイバック 第8回

『ドラゴンボール』の戦闘の面白さがすべて凝縮されていた!悟空VSベジータの歴史的一戦

 そして、もうひとつ大きな変化があった。「スカウター」の登場である。ラディッツなど宇宙人がはめている、片メガネ型の機械だ。強さをはかることができるし、強い人間のいる場所も測定することができる。今までより、はるかに具体的に戦闘力の違いがわかるようになった。

 こうしてより緊迫感のある戦闘が展開されるようになる。ただ、結果として「強さのインフレ」が起こってしまうのだが……それは次回のフリーザ編で語りたいと思う。

 とてつもなく強いラディッツを倒すため、悟空とピッコロがコンビを組む。ここはめちゃ燃えの展開である。

 最後にはラディッツを倒したものの、悟空は死亡。新たなる脅威に備えるため、死後の世界の界王様のもとで修行、孫悟空の息子・孫悟飯はピッコロの元で育てられることになる。そして、ラディッツの言葉通り、サイヤ人たちが地球にやってきて、戦闘が始まるのだ。

 と、ここに来て、『ドラゴンボール』に新しいパターンが生まれる。
 
『悟空は戦いに遅れてくる』

である。

 大きな戦闘では、悟空がなかなか現れなくてハラハラする……というのがお約束になった。宇宙から、ナッパとベジータがやってきたが、界王様のミスで悟空は間に合わない。ナッパを止めるために、ピッコロ、悟飯、クリリン、天津飯、餃子、ヤムチャが戦うが、全く歯が立たない。ヤムチャに至っては、栽培マンに殺されてしまう始末である。最古残のキャラクターなんだから、もうちょっと良い見せ場で殺してやれよ、とも思った。

 結果、天津飯、餃子、ピッコロ、ヤムチャが死亡する。中でも悟飯をかばって死ぬときのピッコロは、ドラゴンボールにしては珍しくウェッティーなシーンだ。

「死ぬ…な…よ…… 悟………飯…………」

と涙を流すピッコロに、もらい泣きした人は多いと思う。悪人キャラがちょっと良いことをすると、すごく感動させられる。ずっと後には、ベジータでも似たようなシーンがあった。逆に悟空がたまに冷たいと「悟空は頭おかしいよな。狂ってるよな」とか言われる。主人公は大変なんである。

 遅ればせながら参上した悟空は、とてつもなくレベルアップしていて、ナッパをあっさり撃破したが、それでもベジータははるかに高い戦闘力を持っていた。

 ベジータは、サイヤ星の王子。戦闘種族の、超エリートである。

 もちろん、ご存知の通り、ベジータは後々味方になる。天津飯、ピッコロと、敵が味方になるパターンは続いたが、ベジータほど、悪いまんま、味方になったキャラクターはいないのではないかと思う。

 ピッコロ大魔王もかなり悪かったけれど、旧ピッコロ大魔王は殺されて、転生している。ここで見た目や人格は変わっている。転生後は人を殺しているシーンは描かれていない。それに引き換えベジータは、そもそも大量の宇宙人を殺してきた男。残酷でプライドが鬼のように高い、どう考えたって敵でしかありえないキャラクターである。

 ただ、それだけ扱いにくいキャラクターだから、作者は面白くなったのかもしれない。
 

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