飛行機オタにとっての「AKB」は“当然”カザフスタンの航空会社！　多数の呼び名が飛び交う撮影現場

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──飛行機マニアとひと口に言えど、その楽しみ方は実にさまざま。機体に乗ることを楽しむファンもいれば、各パイロットのファンにグッズ収集マニア、エンジン音マニアなど、幅広い。そこで、ここでは最も身近な“飛行機写真”の世界を覗いていただこう……。

CANON EOS5DⅢ EF70-200mm f/2.8L IS II SS 1/800 f6.3 ISO100
2014年現在、ANAの最も新しい標準機体塗装となる「IOJ塗装」。
撮影現場では「トリサンERのIOJ撮った？（ボーイング777-300ERの新塗装撮った？）」などと使われる。

＃飛行機撮影現場で交わされるディープな用語 Vol.2

　さて、今回は前回に引き続き飛行機撮影現場で交わされるディープな用語の続編を。

　まず、航空会社の社名についてですが、日本での歴史が長く路線網が発達している航空会社は呼び名も多くなっています。我が国の二大巨頭であるJALとANAの呼び名についても、実は人によって様々。JALは一般の方と同様そのまま「JAL（ジャル）」という呼び名が大勢を締めますが、昔ながらの「日航（にっこう）」という呼び名も健在。「日本航空」とフルで呼ぶのも一般的です。2014年現在、JALの機体は新塗装と旧塗装が混在しているため、飛行機ファンの間では機体塗装が分かりやすいよう「鶴丸（現在の塗装）」と呼んだり、「アーク（旧塗装）」と呼んだりもします。

　一方ANAは、その呼称を2003年に「エー・エヌ・エー」として、ブランディング統一を図りましたが、全日本空輸の略称である「全日空」もまだまだ通用。近年、大きな機体塗装の変化はありませんが、マイナーチェンジされることはあるため、それらを区別する「IOJ塗装（Inspiration of Japan）」、「漢字ロゴ（全日空）」という呼び名も飛行機撮影ファンの間ではあります。

　その他、社名ではありませんがANAファンの人のことを「青組」、JALファンの人のことを「赤組」と呼ぶことも。コーポレートカラーをもじった呼び名ですが、こちらはどちらかというと乗り系の飛行機ファンを意味します。

　そして、航空会社の呼称で最も多いのが、◯◯航空の◯◯の部分だけで呼ばれる場合。それでも長い場合は略して呼ばれます。エールフランス航空は「エルフラ」、キャセイパシフィック航空は「キャセイ」といった具合。物流世界最大手のフェデックスのように、略称が正式名称にゲインした例（元々はフェデラル・エクスプレス）もあります。

　続いてIATA（国際航空運送協会）の発出する2レターコードで呼ぶ場合。ブリティッシュ・エアウェイズは「BA（ビー・エー）」、シンガポール航空は「SQ（エス・キュー）」、ユナイテッド航空は「UA（ユー・エー）といった具合です。前述のJALやANAのように、ICAO（国際民間航空機関）の発出する3レターコードが浸透している例は、フジドリームエアラインズの「FDA（エフ・ディー・エー）」や日本貨物航空の「NCA（エヌ・シー・エー）」など。ちなみに、耳なじみのある「AKB」はカザフスタンの航空会社の3レターコード。日本に乗り入れていないのが残念ですが、乗り入れる際はぜひ48便という便名を付与して欲しいものです。

　そんな中、最もマニアックなのは航空無線で使用される航空会社のコールサインから来た呼び名。台湾に本拠を置くチャイナエアラインはコールサインが「ダイナスティ」。これを略して、撮影現場では「ダイナ」と呼ばれることも。これは、中国に本拠を置く中国国際航空の一般的な呼称であるエアチャイナとの混同を避ける意味合いが強いと思われます。公園などの撮影現場で一般の方が「ダイナ来た！」と聞いたら、「？？」となるかト◯タのトラックが来たかと思ってしまいますね。

　さて、次回は機種名などの用語をお送りしたいと思います。

CANON EOS1D-X EF70-200mm f/2.8L IS II USM +1.4x III SS 1/1000 f6.3 ISO100
アリタリア－イタリア航空。標語の「うつくしま、ふくしま」のように韻の良い社名だ。
現場では普通に略して「アリタリア」と呼ばれる。

●A☆50/Akira Igarashi
フリーフォトグラファー兼グラフィックデザイナー。イカロス出版の発行する「月刊AIRLINE」「航空旅行」などで航空写真の連載記事制作などをおこなうほか、カレンダー撮影、航空会社の広告撮影などを担当。仕事でもプライベートでも飛行機撮影を行う生粋の飛行機好き。写真家として活動するだけでなく、DTP/WEBデザイナーやライターとしても活躍中！　ガンダ◯好きだがニュータイプにはほど遠い。