「飛撮仕事人!の飛行機撮影の世界」第3回

漢なら巨大な望遠レンズを使った撮影で、飛行機の迫力を存分に表現せよ!

──飛行機マニアとひと口に言えど、その楽しみ方は実にさまざま。機体に乗ることを楽しむファンもいれば、各パイロットのファンにグッズ収集マニア、エンジン音マニアなど、幅広い。そこで、ここでは最も身近な“飛行機写真”の世界を覗いていただこう……。

140122_igarashi01.jpg正面気味に迫ってくる機体に寄り、ギリギリまで引き寄せる。レンズからはみ出るかはみ出ないかの攻防だ。
この場合、両翼端まで入れると上下の空間が目立つため切り落とす。


#いろいろな飛行機の撮り方 ~迫力系・アクティブ系撮影~

 今回は飛行機撮影のカテゴリーの中から、「迫力系・アクティブ系撮影」についてご紹介したいと思います。

 前回ご紹介した情景撮影の多くが「引き」(全体を写すような、遠目からの撮影)の構図なら、こちらは多くが「寄り」(必要な部分をアップにするような撮影)の構図。グイグイと機体に寄って飛行機ならではの迫力を表現したり、飛行機のアクティブなシーンを切り取ったりします。機体の一部のみをファインダーに入れて勝負することもあるこの撮影。巨大な超望遠レンズを用いて撮影することも多いため、まさに漢(おとこ)臭がプンプン漂う撮影とも言えるでしょう。

 不必要な部分は、思い切って画面から排除してしまうのが構図のコツ。エンジンが半分だけ写っていたり、機体が中途半端な部分で切れていたりするとバランスが悪くなります。入れるものは入れ、切るものは切る。撮影前にイメージを準備しておきましょう。動いている機体はファインダーの中で相対的に速くなります。構図を一瞬でキメるには、繊細なカメラワークが必要です。漢を感じる撮影ながら、実は繊細。私が女性ならば、うっかり惚れてしまいそうな撮影方法です。

 飛行機撮影に慣れてきたら、まず上級テクニックとしてチャレンジして欲しいのが「流し撮り」(動いている被写体を撮影する際、そのスピード感を効果的に撮影する方法のこと)。乗り物などの撮影ではスタンダードな撮り方ですが、飛行機の持つスピード感を表現するには、適した撮影方法です。背景を流すのにスローシャッターを切るため、最初は手ブレや被写体ブレとの闘いになります。しかし、諦めずに何度も繰り返してください。私も最初は失敗写真を量産しましたが、徐々に慣れてきて、機体だけビタ止まりするようになりました。

 さらに、これらの写真にいろいろなエッセンスを加えることで、仕上がり具合がゲイン(暗かったものが明るくなる)します。例えば、機体が発する衝突防止灯の赤い光を入れることで緊迫感が増したり、大雨の時の水しぶきを入れることで豪快さが増したりします。エンジンブラスト(排気)を上手く採り入れる方法もあるでしょう。それぞれ、自分が「カッコイイ!」と思った瞬間を切り取ることが、最大のコツといえるかもしれません。

140122_igarashi02.jpgクルマや鉄道などと同様、スピード感を表現するには流し撮りが効果的。
多少の鍛錬は必要だが、慣れてくれば引き出しのひとつとなってくれるテクニックだ。



140122_igarashi03.jpg機体に寄るだけでなく、衝突防止灯(アンチコリジョンライト)の点灯を組み入れる。
赤色はアクティブな印象を与えてくれる色なので、迫力系撮影との親和性が高い。



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●A☆50/Akira Igarashi
フリーフォトグラファー兼グラフィックデザイナー。イカロス出版の発行する「月刊AIRLINE」「航空旅行」などで航空写真の連載記事制作などをおこなうほか、カレンダー撮影、航空会社の広告撮影などを担当。仕事でもプライベートでも飛行機撮影を行う生粋の飛行機好き。写真家として活動するだけでなく、DTP/WEBデザイナーやライターとしても活躍中! ガンダ◯好きだがニュータイプにはほど遠い。

AIRLINE (エアライン) 2014年3月号

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今月も、よろしくお願いします。

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