超高校級と現実の野球部、その中間…それぞれを描いた野球マンガ

• ツイート
• 

　そんな対極にある2作の中間、“ちょうどいいバランス”の野球マンガの大御所・あだち充の『MIX』（小学館）の4巻が、今月10日に発売となる。こちらも主人公の2人が中学からようやく高校に進学したばかり。そして、その高校こそが野球マンガの金字塔『タッチ』で数々のドラマを生んだ明青学園高等部だ。

　あだち充の功績は、それまで魔球や殺人野球が跋扈する野球マンガ界において、『タッチ』や『H2』（共に小学館）で、正統&本格的な野球マンガを貫いた点だ。あだちの作品は“恋愛マンガ”といわれることもあるが、ストレートとコントロールのよいピッチャー、強肩強打のキャッチャー、打ち損じることもあるスラッガーなど、現実にもいるレベルの超高校級選手を主軸に置いていたり、配球の妙を見せたりと、野球を知っていなければ描けない描写が多々ある。

　ちなみに筆者が『タッチ』、『H2』に共通して好きなシーンは、試合中に監督が選手に「何球目のストレートを狙え」、「お前は初球に変化球を打て」など、相手投手の配球を読み、選手がその通りに打ってことごとく打線がつながるという場面。きっと『MIX』の終盤の大事な試合の場面でもあるだろうと、今から期待している。

　それにしても、早く野球シーズンが始まらないかなー。
（文／高橋ダイスケ）

■『錻力のアーチスト』1巻
作：細川雅巳
出版社：秋田書店
価格：450円
発売日：12月8日

■『野球部に花束を～Nockin’On YKYUBU’s Door』2巻
作：クロマツテツロウ
出版社：秋田書店
価格：450円
発売日：12月8日

■『MIX』4巻
作：あだち充
出版社：小学館
価格：480円
発売日：12月10日

 
• 前のページ
 
• 1
 
• 2