制作した劇場アニメ『フラグタイム』が公開中にもかかわらず、経営破綻してしまったことで話題になったアニメ制作スタジオ・ティアスタジオ。スタジオを運営する株式会社ネクストバッターズサークルは、いまだに一部スタッフに対する支払いを行っておらず、残念ながら今後も支払われることはないと思われる。
それに対して関係者の損失を補填するべく、設定資料集の企画が立ち上がっている。すでに販売サイトを立ち上げたポニーキャニオンでは、<ポニーキャニオン及び「フラグタイム」製作委員会は、同社への債務の履行はすでに終えている状況>としながらも、わずかでも不利益の回復を目的として企画を立ち上げたとしている。
これまでも、アニメの原画集や絵コンテ集などの設定資料集は数多く販売されてきた。その理由は様々だが、一種の関係者へのボーナス的な要素も強かった。設定資料集は公式に発売されることもあるが、作品に携わったアニメーターたちが同人誌として発行することも多い。自分たちの手がけた仕事とはいえ、業務の成果物を同人誌で発行するというのは、いったい製作サイドとどういう話し合いになっているのかは謎なのだが、関係者のボーナスになったり、打ち上げ費用が出れば構わないかという形で黙認されてきたというわけだ。
つまり設定資料集そのものは、決して珍しいものではない。しかし、目的が未払いの損失補填というのは極めて珍しい。もちろん全員の損失が補填されればいうことはないが、設定資料集というものはかなりの水物だ。ヒットしたアニメでも設定資料集はたいして売れなかったということもあるし、その逆もあり得る。
損失の補填のために、今できることを考えて企画された設定資料集。素晴らしいアイデアではあるが、こんなことが何度も起こってはならない。
(文=大居 候)
ティアスタジオ破綻に対して『フラグタイム』設定資料集が発売決定 未払いの損失補填へのページです。おたぽるは、アニメ、話題・騒動の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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