『かみさま日和』の聖地・天疫神社をたずねる おみくじ20円だけじゃない優しさ

 さて、そんな天疫神社。実は北九州市を含めて周囲には同じ名前の神社がたくさんある。その中で、この八幡東区の天疫神社が『かみさま日和』の舞台である「天晴神社」のモデルであることは、先に訪れた方々のネットの情報で知った。

 その情報をもとにやってきた天疫神社。神社へと続く石段から、マンガに出てきたそのままの風景が! マンガでは地域の人々に支えられる神社として描かれていたが、実際の神社もそんな雰囲気が漂っている。

『かみさま日和』の聖地・天疫神社をたずねる おみくじ20円だけじゃない優しさの画像3

 さて、神社の創建は醍醐天皇の頃。すなわち西暦900年頃。祭神を見ると、次のように記されている。

稲田媛命
須佐之男命
大穴牟遲命
事代主命
事八十神
彌都波能売命

 詳しい人にはわかるだろうが、出雲系の神様である。もともとこの頃に流行った疫病をおさめるために祈ったところ、御神徳があり神社が建てられたという。おそらくは疫病が治まらず困った人々が出雲の神様を呼んできて祀ったら効果があったので、それが地域に広がっていったということだろうか。

 そんな悠久の歴史に思いを馳せながら、参拝の記念にと御守りを購入しつつ神主さんに「なんで同じ天疫神社という名前の神社がたくさんあるのか」と聞いてみた。

 実際のところ、明確な関連はないという。この神社も元は高槻疫神社という名前だったが、明治の頃に祭神を同じくする神社はどこも天疫神社という名前になったらしい。だが、詳しい資料は戦災などで失われて残っていないという……『かみさま日和』でも、かつて行われていたお祭りの資料が戦災で失われたという設定があったが、ちゃんと取材を反映しているということか。

 と、「『かみさま日和』を読んできました」という筆者に詳しく話してくれた神主さん。「これも珍しいですよ」と教えてくれたのが、社務所の前のおみくじの自販機。もうすでに製造した会社も消滅したレトロな逸品だという。

『かみさま日和』の聖地・天疫神社をたずねる おみくじ20円だけじゃない優しさの画像4

 しかし、そのレトロさよりも気になるのが、おみくじの価格。20円というのは、あまりにも安すぎである。なんて優しい神社なのか。

 さっそくひいてみた筆者だが、結果をみてまず「中吉か……」とポロっと言ってしまった。すると神主さんから有り難い言葉が。

「おみくじは、枝に結んだりする風習がありますが決まりはないんです。大吉とか凶の部部分よりもその下に書いてあることが重要ですかから、持って帰って読んでもいいんですよ」

 まだ旅の途中であった筆者。そっとおみくじを財布にしまい旅の安全を祈った。そして無事に帰宅することができたのである。

 そして、改めて思った。やさしさに溢れる作品の聖地は、やっぱり優しかったと。
(文=昼間 たかし)

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