『空の青さを知る人よ』のヒットで、今一度考えたい「聖地巡礼」のマナー 地元住民の悲痛な叫びとは

『空の青さを知る人よ』のヒットで、今一度考えたい「聖地巡礼」のマナー 地元住民の悲痛な叫びとはの画像1
『空の青さを知る人よ』公式サイトより

 11日の公開から4日間で興行収入約1億6,600万円、観客動員数は約12万6,000人を記録し、2、13日の映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場で4位にランクインしたアニメ映画『空の青さを知る人よ』。ヒットの予感が漂う本作だが、ファンが作品のモデルとなった場所を訪れる「聖地巡礼」について、地元住民が注意を呼びかけている。

 吉沢亮、吉岡里帆、松平健といった豪華芸能人が声優を務め、若い世代からシンガーソングライターのあいみょんが主題歌を担当するなど、アニメファン以外からも注目を集めている本作は、2011年に放送されたTVアニメが大ヒットし、13年に劇場版が公開され社会現象となった『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』、15年に公開された劇場版アニメ『心が叫びたがっているんだ。』を手掛けた長井龍雪監督、脚本家・岡田麿里、キャラクターデザイン&総作画監督・田中将賀の3人からなる、アニメ制作ユニット「超平和バスターズ」の最新作。

 高校2年生の主人公・あおいと、彼女の姉で親代わりでもあるあかね、若き日のあかねと恋人同士だった慎之介、そして突然あおいの前に現れた13年前の慎之介である18歳の「しんの」の4人が絡み合い、過去と現在をつなぐ二度目の初恋が描かれている。

「秩父三部作」の最終作と位置づけられたオリジナル作品とされているだけに、物語の舞台は、『あの花』『ここさけ』と同じ埼玉県秩父市。ストーリーはもちろん、秩父の自然をそのまま切り取ったような、美しい風景描写も魅力のひとつとなっているが、映画のヒットを受けて、地元のTwitterユーザーは、「作品の中に出てくる鳥居は僕の家の敷地を通らないと行けません。何人か聖地巡礼に来たときには許可しましたが今後は一切立ち入らないでください」と注意喚起。実際に「駐車禁止」「立ち入り禁止」の看板も設置しているという。

 なお、「秩父の映画好きだし、この場所実際来るのは大変だけど景色はいいですし。ただ、家には入らないでってだけなんです」と、聖地巡礼について腹を立てている訳ではない様子で、あくまで私有地への立ち入りを控えてほしいとのことのようだ。ちなみに、この件について、映画の制作サイドからは特に何も報告がなく、自宅映画に登場していることを知り、ファンが殺到する前にと、注意喚起に至ったという。

 聖地巡礼ブームのモデルケースとなったアニメ『らき☆すた』に見られるように、地域の知名度アップと経済効果を図るため、町おこしの一環として作品と連携する地方自治体も増えてきている一方、『涼宮ハルヒ』シリーズや『ガールズ&パンツァー』、『ラブライブ!サンシャイン!!』など、これまでに学校や私有地への立ち入りや撮影マナーの悪さによるトラブルも度々報告されており、新海誠監督の『君の名は。』(16年)は、近隣住民からの苦情を受けて公式サイトで声明を発表。同じく16年公開の『この世界の片隅に』では、一般住民への迷惑になると片渕須直監督が自ら自身のTwitterで「そこは観光地ではないのです」などと、異例のアナウンスを行ったことも。

 実際に今年3月には、ジブリ映画『千と千尋』(01年)に登場する「水中の線路」に“似ている”とされた愛媛県・下灘駅付近の造船所が、「うちは造船所です。『千と千尋の神隠し』のモデルでも何でもありません。隠れスポットでも癒しの場所でもありません」とFacebookに投稿。「船台の上に乗る ゴミをポイポイ。注意しても『はぁ?』と逆ギレ」「家族は精神的に追い詰められています。本当に来ないでください」と、悲痛な叫びを上げている。

 始めは一部の熱狂的なアニメファンによる行動だった聖地巡礼も、いつの間にやら一般層にも広く浸透した。作品の名を汚さないためにも、節度とマナーを守った聖地巡礼を切にお願いしたいところだ。

『空の青さを知る人よ』のヒットで、今一度考えたい「聖地巡礼」のマナー 地元住民の悲痛な叫びとはのページです。おたぽるは、アニメ話題・騒動の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!