『夫の扶養からぬけだしたい』(ゆむい)夫婦とは?女性とは?現代日本の男女・夫婦問題の縮図を描いた名コミックエッセイ!

 総務省が発表した2017年の就業構造基本調査によると、”夫婦共働き世帯”の割合は48.8%だったそうだ。これは、ほぼ半数の家庭が共働きということを意味している。

 一方で厚生労働省が発表した「配偶者手当の取り巻く環境について」によると、家事に男性が関わる時間は1時間も満たないという結果であった。これはもちろん家事のほとんどを女性が担っていることを意味する。

 女性の社会進出が当たり前となったいま、この家庭でのアンバランスさが問題になり、夫婦問題に発展することも珍しくないという。今回はまさにそんなテーマをコミックにしたゆむい氏の『夫の扶養からぬけだしたい』(KADOKAWA)を紹介しよう。

 専業主婦のももこは出産・育児を機にマンガ家になる夢を諦めた。
 収入がないことに引け目を感じ、言いたいことを我慢する日々。
 理解しようとしてくれない夫の態度や発言。
 すれ違いによって揺れる夫婦の関係。
 扶養から抜け出し自立することを決意するももこだが…。

 主人公のももこは毎日毎日、育児に追われている。それに対して不満はない。愛する子供のためだ。しかし、子育てというのはかなりの重労働なうえ、精神的負担も大きい。どんどん家事がおろそかになってしまう。

 ももこはひとりでの育児に疲れてしまい、夫に相談する。しかし、まったく相手にしてくれない。それどろか「さぼっている」というトンチンカンな返答までされてしまう始末。夫の言い分は、「自分は身を粉にして働いている。毎日精神をすり減らして必死に働いている。ももこは時間もたっぷりあって、社会的責任もないのだから、火事ができないわけないだろう」と。ももこはその言い分に納得はできないものの、自分は夫に食べさせてもらっているという引け目もあって、何も言い返せない。

 ももこの生活は徐々に限界を迎え、夫と対立する形ではあるものの、自立するべくあきらめていた絵で食べていくことをもう一度志す。自分がお金を稼ぐには、これしかないのだと。これがなんと、幸いにも上手くいく。夫は様子を見るのだが……。

 『夫の扶養からぬけだしたい』は現代社会に潜む夫婦間ないしは、男女間の問題の縮図であると言えよう。いまは男性も育休を取る時代だ。しかし、その浸透率は欧米に比べてまだまだと言えよう。実際、日本はいまだ男性社会であることは否定できない。

 作中、ももこはなんとか絵だけで生活ができそうになる算段がつくと、夫に離婚するかしないか、現実を突きつける。その結果がどうなるのかは、ぜひとも本作を読んでいただきたいが、実際の夫婦に置き換えた場合、男性側の古い考えが抜けないために夫婦間が崩壊してしまうことは、もはや当然のことと言えよう。

 もしも、いま現在ももこたちと同じように悩んでいる女性がいたら、ぜひ本作を読んでみてもらいたい。かつ、その夫にも。作中のももこに共感し、そして生き方に勇気をもらえるかもしれない。また、夫は自分の考えが愚かだったことに気づくかもしれない。

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