■「こういう怖い作品って、現場は明るいんですよ」
――「総監督」という立場上、各エピソードの順番には相当配慮されたと思いますが。
井口 かなり考えましたね。似たようなネタが連続しないように、監督さんもバラけるように。
―― ご自身が監督した中ではどの作品がお気に入りですか?
井口 第1話「誘惑の黒い影」が結構好きです。いや、第2話「雪の中の妖精」かなあ? 他の監督の作品も大好きですね。飯塚さんが「抗生物質」がテーマの話を書いてきて、台本読んで全然分からなかった。「どういう絵になるんだ?」って。
―― 第8話「病にかからぬ謎の民」ですね。
井口 でも出来上がりは監督らしいというか、独特の面白さに満ちた作品になってて。それに「秘境探検モノ」だから決してメインテーマから外れていないですし。全体的に作業としては大変でしたけど、終わったらみんな清々しい顔になってましたね。
―― 大変だった、というのは?
井口 たとえば第5話「機械人がやってくる」は、イラストレーターの加藤礼次郎さんに「モノクロでいいですよ」って話をしてたんです。ラストだけはカラーであとは白黒にって。なのに自主的に全部色を塗り始めてくれて(笑)。
―― そういうクリエーターの方って多いですよね。
井口 それでちょっと納期が遅れて(笑) アフレコの時も半分ラフのままだったりして「大丈夫か?」って心配でした。でも完成したら最高の仕上がりでしたね。
―― ナレーションは、今をときめく人気俳優の斉藤工さんが担当されてますが、これは?
井口 印象に残る人がいいねって会議で話してたら「井口さん、斉藤さんとも交流あるよね?」ってなって。「じゃあ」って何となくショートメールしたんですよ。
―― え、御本人に直接?
井口 ええ(笑)。「『ウルトラQ』みたいな怪奇ものをやりたい」「工さんみたいに甘くて怖い声がいい」って送ったところ、「喜んでやらせていただきます」ってすぐ返信が来て。
―― 即答だったんですね。カッコイイなあ。
井口 録音も半日で終わったんですよ。10時にいらして18時には終わったのかな。やっぱり工さんの勘のよさ、力量にはビックリしましたね。求められてることを理解するのが早いっていうか。回によってトーンをちょっとずつ変えてるんですよ。「暗くなく重くなく優しく」の時もあれば「感情を押し殺して棒読みに近く」とか。そんな微妙なニュアンスを全部しっかりやってくれましたね。
声優さんもいろんな方が来てくださって、皆さん楽しんでやってくれましたね。こういう怖い作品って現場は明るいんですよ。これは清水崇さんもおっしゃってましたし。
―― 映画『呪怨』などで知られる監督ですね。
井口 こんなアットホームな現場で同じ釜の飯を食って作って。「そこのふりかけ取って!」「おかわり!」みたいな。デジタルの向こうに寮生活。それが『世界の闇図鑑』最大の秘密ですかね(笑)。
「Jホラーとは違う『恐怖』を伝えたかったんです」『世界の闇図鑑』総監督・井口昇インタビューのページです。おたぽるは、インタビュー、アニメ、話題・騒動、井口昇、闇芝居、インタビュー、ノーメイクス、世界の闇図鑑、吉田ウーロン太、斉藤工、東京12チャンネルの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!
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