『ラブライブ!』星空凛役の飯田里穂ソロデビュー記念インタビュー「いつか大宮ソニックシティでコンサートを」

 アニメ『ラブライブ!』の星空凛役で人気の“りっぴー”こと飯田里穂が、7月29日にメジャーデビューアルバム『rippi-rippi』をリリースする(日本・台湾同時発売)。アルバムには飯田も在籍する『ラブライブ!』μ’sのメンバーでもある南條愛乃が作詞で参加しているほか、飯田自身も収録曲「7月29日」の作詞を担当。μ’sをはじめとしたこれまでの飯田の音楽活動とはまた違った、新しい飯田の魅力に触れられる内容となっている。

150729_idaint_1.jpg飯田里穂(写真/名鹿祥史)

 すでに収録曲の「始まりたいカノン」のMVも公開され、11月15日には初のワンマンライブ「rippi-rippi-rippi」(新宿ReNY)を控える飯田。今回はアルバムの聴きどころや、今後の飯田の音楽活動などについて、あらためて思いを聞かせてもらった。

――メジャーデビューおめでとうございます。

飯田里穂(以下、飯田):ありがとうございます!

――飯田さんは幼い頃から『天才てれびくん』(NHK教育)に出演していたり、ここ数年も『ラブライブ!』の星空凛役で人気を博していて、今作がメジャーデビューというのは意外な気もしました。アルバムタイトルは飯田さんの愛称をもじった『rippi-rippi』ですが、ここにはどんな願いや思いが込められているのでしょう?

飯田:最初は「『rippi』でどうだ」と話をもらって、その時はしこりを残しつつも、「はい!」ってことになっていたんですけど、どうしてもこのしこりが消えなくて、『rippi-rippi』と、“りっぴー”を2つ付けさせてくれないかと自分から後々お願いさせてもらったんです。なんか『rippi』だけだと、わたしの成分が少ないような気がして(笑)。

――『rippi』の2倍ということなんですか?

飯田:ちょっとこだわりがあるんですけど、このアルバムってわたしにとって、もう一人の飯田里穂、新しい飯田里穂を見てもらいたいという意味がすごく込められているんです。みなさんの中にはきっと、これまでの飯田里穂だけを見て思い浮かべたイメージが漠然とあると思うんですけど、そのイメージをこのアルバムで、いい意味で脱いで取っ払って、新たな飯田里穂の魅力を見せて、みなさんを魅了していきたいという思いが強かったんです。飯田里穂の“りっぴー”成分が2倍だよっていう意味も込められているし、なおかつ“りっぴー”ともう一人の“りっぴー”だよという意味も込めて、『rippi-rippi』にさせていただいたんです。

――じゃあ、11月15日の初のワンマンライブ「rippi-rippi-rippi」は、“りっぴー”成分が3倍ということですね。

飯田:そうなんです! まさに、わたしの成分が3倍増しみたいなライブにしようと思っているからなんです(笑)。

150729_idaint_5.jpg飯田里穂メジャーデビューアルバムrippi-rippi初回限定盤A

――新しい飯田里穂にこだわった理由はなんですか?

飯田:いろいろとお仕事をさせていただく中で、わたしもイメージというものがいい意味でついてしまって、そこからステップアップしたいなという気持ちが強くあったんです。いろんな役やキャラクターを演じているわたしもいいけれど、背伸びもしない、ありのままの等身大のわたしも見てもらいたいって。今回、アルバムを出すにあたって、レコード会社さんもそれは同じ考えだったんです。

――等身大な自分を見せる意味でも、今回のアルバムには飯田さんのアイデアがたくさん入っているということですか?

飯田:もちろん、楽曲は頂いたものなんですけど、最初に仮歌も仮メロも入っていない状態の音源を何曲か頂いて、その中から表題曲(リード曲)を決めたいとなった時にわたし自身で、3曲くらい自分で選んだりしました。どうしても自分の納得のいくものを作りたいという気持ちがあって。

――歌はキャラソンなどでも歌ってらっしゃいますが、もともと好きだったのですか?

飯田:好きでした。小さい頃から歌うことって本当に素敵だなって。歌の中のメッセージを伝えたり、みんなの感情が歌を通じてひとつになるとか、わたしがそれまでやってきた演技やバラエティや声のお仕事とまた違った表現方法、アプローチの仕方で、これはすごいことだなってずっと思っていたんです。

――小さい頃からというと『天才てれびくん』の頃から、そんなふうに感じていたということなんですね。

飯田:もちろん。『天てれ』の頃から、歌うコーナーもあって、歌には取り組んでいましたし、そこで歌を歌うためにレッスンとかしたりするのもすごく楽しかったんです。

――先ほど新しい自分、等身大の自分を音楽を通じて表現したいとおっしゃっていましたが、公開されたMV「始まりたいカノン」は、まさに飯田さんのそういった気持ちが表現された曲になっています。

飯田:「始まりたいカノン」の内容もそうなんですけど、アルバム全体に「新しいわたしが生まれたみたい」とか、「生まれる」とか、「新しいわたしに気付く」とか、そういう意味のメッセージがまとめられているんです。MVの作りも、現実的な今の等身大のわたしがいて、ちょっと背伸びをするんだけど、やっぱりしっくりこないので「今の自分が一番だ、ありのままの自分がいちばんだ」という内容になっています。

――レコーディングには結構苦労されたとも聞きました。

飯田:ひとつのキャラクターになりきって歌ったり演じたりというお仕事を長くやってきたので、抜けきれない感じがすごくあって、最初は本当に苦労して、ぶっちゃけ泣きました。できない自分に腹が立って。

――演じることと自分を表現することは違う?

飯田:まったく別物です。演じることを長くやっていたので、歌うということに対しても、それがイコールで結びついちゃうようになっていたんです。今回は等身大のわたしっていうのが目標じゃないですか。録り始めてすぐに違うってなったんです。でも、どうしていいかわからなくて。その答えとかゴールをいろいろもがいて模索して、なんとか絞り出したわたしを苦闘の末に詰め込んだという感じです。飯田里穂がみなさんにもっと伝わるようにって。

――演じている時の飯田里穂と今回の飯田里穂は、どんなところが違うんですか?

飯田:今皆さんが思っている飯田里穂というのは『ラブライブ!』のキャラクターのイメージがすごく強いと思うんです。元気で明るくてキャッキャしていて……。そこに間違いは決してないんですけど、それは星空凛を演じるわたしであって、まんま飯田里穂かっていったら、やっぱり少し違うんですよ。元気さは変わらないんですけども、なんていったらいいんでしょうね……。

――そもそも飯田さんは、自分をどんなふうな人間だと見ているんですか?

飯田:結構さばさばしています(笑)。基本的に、いつも前向きにとらえるタイプ。小さい頃からそういうタイプです。あっけらかんとしているといったら、誤解がありますけど、周囲もあんまり悩みを抱えすぎない、ポジティブな友達が多いです。さっぱりしていてさばさばしていて、「そんなの大丈夫だよ」って。「次があるから、次をちゃんとやろうよ」みたいな。でも、もちろん落ち込むこともありますけどね。

150729_idaint_3.jpg飯田里穂(写真/名鹿祥史)

――『ラブライブ!』の話も出ましたが、『ラブライブ!』は飯田さんの声優デビュー作でもありました。この作品を通じて変わった自分ってありますか? 大ヒット作ですし、飯田さん自身もこの作品を通じて、それまで以上に世間に認知される存在となりました。

飯田:どうなんでしょう。というくらい、わたしは実はまだ実感がなくて(笑)。確かにμ’sのコンサートにはすごい数のお客さんが来てくれて声援を送ってくれるんですけど、そんな日の夜、コンサートを終えて、わたしはまだ自分の家のお風呂掃除を一生懸命していたりするんです。変化というものは、あんまり感じないかな。人気者になるのもまだまだ。もちろん、『ラブライブ!』がずっと売れてくれたら、っていう楽しみは大きいです。だって、『ラブライブ!』があったおかげで、今回のアルバムの話も来たんだし。

――女優やタレント活動をしていたのが声優への道がある日突然開けて、大活躍。声優に取り組んで意識が変わったことってありましたか?

飯田:最初は本当にわからないことがいっぱいあって、右も左もわからない状態で不安だったんです。声優といわれても、最初はそのやり方もわからないわけですよ。台本のチェックの仕方もわからないし、そういうことを隣でひとつずつ教えてくれたのが、一緒にやっていたメンバーの中でも南條愛乃さんだったんです。そのおかげで当時ずいぶん救われました。意識の変化というのは、まだ自分でもわからないです。

150729_idaint_4.jpgrippi-rippi初回限定盤B

――その南條愛乃さんはこのアルバムの中で作詞でも参加されていますね

飯田:「まだ言えないけど、◯◯◯」っていう歌です。『ラブライブ!』では、その南條さんにいろいろ聞いたり、わからないことを教えてもらったりして、そこから試行錯誤しつつ、放送されたものを見たりして、「うわー!全然できていない」とか落ち込みながらも「次は頑張るぞ!」みたいな(笑)。そういうことを何回も繰り返しながら今に至る、みたいな感じです。

――飯田さん自身は今回のように歌手でもあり、タレントさん、女優さんでもあると思うのですが、『ラブライブ!』後は声優さんというイメージが定着している印象があります。

飯田:わたしの場合、最初はやっぱり声優さんで始めていたわけではなかったので、『ラブライブ!』を始めた頃はいろいろと言われてしまうことも多かったんです。でも、負けないぞって。みんなに認めてもらいたいという気持ちでやっていて、今は、少しずつ認めてもらえるようになったんだって。だから、声優さんと呼ばれることはすごく嬉しかったり、ありがたいことだと思っているんです。少しずつ、努力が報われてきているんだって。

――声優として活動の幅を広げて、さらにμ’sも。本当に大変だったのでは。

飯田:歌うことは全然抵抗なかったんですけど、キャラクターになりきって歌うことは初めてだったので、やっぱりその時も苦労したんです。今、一番最初のCDとか恥ずかしくて聴けないですね(笑)。キャラクターになりきれていない自分がいて。それは今となってはその時にしかいない自分だからそれでいいのかもしれませんけど、だけど、自分で今聴いちゃうと、「あーっ」ていうふうにはなりますね。恥ずかしいって。

――そして今回のソロアルバムで更なる苦悩が。今回のアルバムは、ご自身では何点くらいの出来ですか?

飯田:これはもう自信を持ってみなさんに届けるのが目標で、突き詰めてやってきたというのもあるのですが、120点ということでお届けしたいと思います(笑)。

――アルバムの聴きどころみたいなものはありますか?

飯田:もちろん、聴いてほしいのは全部なんですけど、自分的にキーポイントになっているのは、この発売日でもある7月29日をタイトルにした「7月29日」という歌です。これはわたし自身が作詞をさせてもらった歌。できればたくさんの人に聴いてもらいたいです。

――作詞自体は、やったことがあったんですか?

飯田:生まれて初めてやりました。いつかやりたいなという気持ちはあったんですけど、こんなに近しいタイミングで実現するとは思っていなかったので、お話を頂いた時はびっくりしました。

――声優、歌、作詞。新しいことにチャレンジするのが大好きですね。

飯田:大好きです(笑)。もっと広い世界を見てみたいって、いつも考えているんです。でも正直、詞を書くのは大変でした。

――どういうところが大変でしたか?

飯田:なんかその、言いたいこととか言葉とか、伝えたい思いはいっぱいあるんですけど、それを譜面の中の、メロディに入れ込むことがすごく難しかった。思い浮かばないということはなかったんですけど、「これだ!」って自分が思っている言葉を思いついても、音符の数に言葉の数を合わせていく作業が大変で。これじゃ字余りだから違う言葉にしなきゃってなったときに、じゃあ、どういう言葉にしようって。そこが大変でした。

――「7月29日」に込めた思いは、どういうものですか?

飯田:ここから新しいわたしがスタートするという、そういう思いと共にここまで来れたのはみなさんのおかげでもある。だからこの今を忘れないでほしい。だけど、この今があるということはこれからも続いていくということだから、一緒に続けていこうって。そういう、わたしとファンをつなぐような作品になっています。

――この後は、このアルバムを引っさげて新宿ReNYでのワンマンライブが控えます。

飯田:そうです。ワンマンです。生演奏で生バンド、しかもガールズバンドをバックに歌います。それだけでも、わたしにとってまた新しい挑戦。そこから生まれるチームワークみたいなものもきっとあるだろうから、今から楽しみなんです。生演奏って本当に素敵だし、絶対失敗もできないし。ファンの方には飾られた可愛いわたしというよりは、伝えようとしているアーティストとしてのわたしもぜひ見てほしいです。

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――今後のソロとしての方向性は、どんなふうに?

飯田:まずはこれを聴いてもらって、新しい面があるんだよってみなさんに知ってもらいたいです。『ラブライブ!』の活動とこれは、また別物。ソロはソロ、ユニットはユニット。ユニットではみんながいるからという安心感もあるけど、今回の自分ひとりでやっている緊張感も、たまらなく刺激的。ドキドキします。今、アニメのおかげで海外でもわたしのことを知ってくださってる人が増えて、海外の空港でもこんなに多くの人がっていうくらいの出迎えを受けたり、本当にビックリするほどたくさんの方が注目してくださっているんです。そういう方たちにもお礼を言いに、ライブをしにいきたい。あと、自分としては埼玉県出身なので、いつか大宮ソニックシティでコンサートをやってみたいです。

――武道館じゃなくて大宮ソニックシティ?

飯田:わたし、埼玉愛が強いんです。埼玉の、カエルが鳴いているようなあの雰囲気が大好きなんです。本当にのどかなんだな、って。あと、埼玉ってすごく星がキレイですよ。

――多忙な中、プライベートがおろそかにならないか、ちょっと心配になったりもします。

飯田:そうなんです。わたし、けっこう一直線で、ひとつのことしか見れないタイプなので。(笑)

――恋愛も、する暇がないのでは?

飯田:今は、恋よりも仕事のほうが楽しいかもしれないですね。結婚願望も、今のところまったくないですし。

――将来子供が欲しいとかはないんですか?

飯田:それはありますよ。結婚して、ちゃんとお父さんとお母さんに孫を見せるというのは、もう当たり前のこととしてわたしの中にありますけど、いつまでにとかは決めていないんです。

――じゃあ当分は仕事一直線ですね。

飯田:今は、自分の目の前にある目標をクリアしたいという思いが強いんです。プライベートのことはそれからです(笑)。

――最後に、あらためてアルバムのPRをお願いします。

飯田:今回のアルバムは、新しいわたしを見てもらえるよう、今までのわたしをいい意味で脱却できるように頑張って作りました。すごく思い入れのあるアルバムです。本当にわたしのすべてを詰め込んでいると思うので、たくさんの人に聴いてもらえたら嬉しいです。
(インタビュー/名鹿祥史)

rippi-rippi
アルバム「rippi-rippi」は初回限定盤A、B、通常盤の3形態で発売
初回限定盤AにはBlu-ray+PHOTO BOOKが、BにはDVD+PHOTO BOOKが付属。Blu-ray / DVDには「始まりたいカノン」のMVとメイキング映像が収録
限定盤Aと限定盤BのPHOTO BOOKは内容が異なります。
通常版はボーナストラック含む全12曲収録

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