『アリスと蔵六』9話 お母さんを操って動かして幸せな家族をつくる……悪い魔女になってしまった

『アリスと蔵六』9話 お母さんを操って動かして幸せな家族をつくる……悪い魔女になってしまったの画像2『アリスと蔵六』公式サイトより。思考力を奪い、人を操り、記憶をところどころ消してしまう羽鳥の能力は、紗名でも手を焼く最強クラスの「アリスの夢」

■紗名が皿洗いをした日

 あさひとよながのお泊まり会のシーンは、BD-BOXのショップ特典でも描きおろしイラストに使われている、名場面だ。
 2人は紗名の成長に驚愕。紗名が能力を使わず台所で洗い物をしている。あの所構わず能力を使って駄々をこねていた紗名が! おそらく洗い物専用と思われる踏み台には、樫村紗名のフルネームが!

 紗名が樫村家で、最初に仕事として与えられたのは朝刊を毎朝取ってくることだった。はじめはこれすら、寒い、面倒くさいといってサボろうとしていた。
 しかし「樫村紗名」として正式に家族の一員になったのを心から喜んだ彼女は、蔵六と早苗(演:豊崎愛生)に対して、特別な愛情を感じ始めた。
 自分の感情も、相手の気持ちも、他人と自分の境界すらわかっていなかった子が、自分から家族のために仕事をするようになった。

 あさひ・よながと、どうでもいいことで大騒ぎする場面もいい。紗名に、警戒しなくていい、大好きな友達ができた。
 今回の日常パートは、紗名の心の成長のオンパレードだ。

■蔵六の子育て術

 今の紗名は、ものすごくスキンシップを求める子だ。
 蔵六の帰りがちょっと遅くなった時。紗名は帰ってきた蔵六にしがみついて離れようとしなかった。

紗名「蔵六、もうどこにも行くなよ、ヘンなふうになったりするなよ」

 一方で、蔵六はそれほど抱きしめたりなどのスキンシップは取っていない。
 ただし蔵六は紗名と関わる際、必ず理由を言う。

 最初のころ、お風呂に入りたがらなかった(能力で汚れないから)紗名が、今はちゃんと入っている。
 紗名は「洗わないとバイキンが増える」「はやくあがるとカラスの行水」と、あさひとよながに得意げに言っている。
 おそらく蔵六か早苗に言われたのだろう。彼女は言葉で確認しながら、全て納得して動いている。

 蔵六は紗名が一生懸命言うことは「そうか」と必ず受け止める。抱きついてきた紗名を、力づくで離すことはしない。だから紗名は安心して蔵六に甘えられる。
 普段抱きしめたり一緒に遊んだりするのは、早苗の仕事なのだろう。でも大事な時は、蔵六自身がやさしく頭をなでている。

■偽りの家族、心の壁

 一方、羽鳥の家庭は全くコミュニケーションが成立していない。
 羽鳥がヤケになって原宿の人の心を奪ってしまった原因は、元をたどれば家族の不和にある。

 紗名が、大切な家族と共に過ごし、友人たちと笑いあっているシーンがあるだけに、親友の歩すらはじき出してしまった羽鳥の心の壁がひたすら際立つ。
 情報調査室の内藤竜(演:大塚芳忠)と山田のり子(演:広瀬ゆうき)が何度訪れても、2人の心を操り、記憶を改ざんして帰らせてしまう彼女。家に近づかせることすらできない。
 はーちゃん、ATフィールド分厚すぎるよ。

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