【劇場アニメレビュー】シリーズ初プレイのドキドキが甦る!?『バイオハザード:ヴェンデッタ』

 今回の主人公はクレアの兄で対バイオテロ組織「BSAA」に所属するゲーム版でも人気の高いキャラ、クリス・レッドフィールドと、元ラクーン市警特殊部隊「S.T.A.R.S.」に所属していたレベッカ・チェンバース。両者が国際指名手配犯グレン・アリアスの凶悪かつ狂大なるバイオテロの陰謀に対峙していくのだが、それに伴い、CGアニメ版の顔ともいうべきレオンも登場する。

 クリスとレオン(前2作およびゲーム版の数々の戦いで疲弊しきったか、今回はすっかりやさぐれたおっさん状態で登場するあたりがナイスだ)のタッグは、ドラマ後半のNYバイオテロをめぐるスリリングな攻防戦でのバイオレンス・アクション・シークエンスで魅力を放つ。特にバイク・チェイスのくだりは、ガン・アクションにこだわりを持つ辻本監督の長所が最大限に発揮された白眉たるものといってもいいだろう。

 そして、これらの秀逸な演出を裏付けするCG技術の躍進には本当に圧倒させられる。前2作を初めて見たときも、その都度斬新な映像に驚かされたものだが、今回はさらに進化した、リアルながらもどこかフルCGアニメ映画ならではの独自の味わいをきちんと湛えたセンスに感服させられる。ちょうど同時期、セルルックCGアニメ映画『BLAME!』のクオリティの高さに圧倒されたばかりだが、こちらも負けず劣らずのすばらしさ。

 かつてはCGアニメのCG臭とでもいうべきのっぺり感や動きのぎこちなさなど、かなりの部分で見る側が補完しないといけないような時期もないわけではなかったが、今のCGアニメは、ある種実写にもセルアニメにもない魅力を発散するようになってきていて、その分新作を見るのが俄然楽しみになってきている。

 一方で神谷誠にしろ辻本貴則にしろ、実写だの特撮だのアニメだのといった垣根を優に通り越したところでのエンタメ的活動に勤しむ優れたクリエイターがごく自然に増えてきている事実にも、今後の日本のエンタメ界に希望が持てるところで、あとは企画する側のセンスなどに期待したいところではある。

 いずれにしてもこれからのCGアニメの躍進から当分目を離せなくなりそうである。
(文・増當竜也)

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