『DIGIMON UNIVERSE アプリモンスターズ』 1巻  『デジモン』じゃなくて『ロックマンエグゼ』でした! !

「Vジャンプ」で連載中のマンガ『DIGIMON UNIVERSE アプリモンスターズ』(原案:本郷あきよし、画:赤嶺直樹/集英社)の第1巻が4月4日に発売されました。「デジモン」というタイトルが付いていますが、本編で出てくるのは「アプモン」。シリーズのファンにとってはちょっと複雑な気持ちのする、新たな『デジモン』シリーズの作品をレビューしていきます。

 まずは「アプモン」の説明から。これは「デジモン」の一種という訳ではなく、見た目は似ているけど全く別のもの。スマホのアプリに宿る人工知能をもった生命体が「アプモン」。選ばれし人間だけが扱える“アプリドライブ”を持った人が、パートナー「アプモン」とともに、ウイルスに犯された「アプモン」が起こすトラブルの解決に奔走します。

 主人公は「主人公に憧れる」中学1年生の男子・ハル。ある日のこと、巷では「つぶやきアプリ」や「ナビアプリ」にトラブルが発生し、思ってもいないことが勝手につぶやかれたり、地図が故障して道に迷う人が続出する事態に。そんな中、ハルは“アプリドライブ”を手に入れ、検索アプリのアプモン・ガッチモンと出会い協力し、ウイスルに犯された「つぶやきアプリ」のアプモン・ツブモンと、「ナビアプリ」のアプモン・ナビモンと戦闘。

 戦闘時には“アプリドライブ”によってパートナーアプモンを実体化させてバトル。また、人間はアプモンチップなどを使ってパートナーアプモンをサポートして戦闘を有利に進めていきます。

 こんなお話どこかで見たような……って、これ完全に『ロックマンエグゼ』シリーズですね。『ロックマンエグゼ』はウイルスに犯されたナビが暴走して電脳空間でトラブルを起こし、人間はパートナーナビをチップでサポート。似ているというか、ちょっとまんま過ぎるような気も……。人間が“カードスラッシュ”でパートナーデジモンをサポートしていた『デジモンテイマーズ』っぽいとも言えますが。

『アプモン』を『デジモン』っぽく感じる理由は、アプモンの見た目と、選ばれし人間が活躍するといったあたりでしょうか。基本的に“アプリドライブ”を持っている人しかアプモンの存在を知ることはできないので、そこは『ロックマンエグゼ』の世界観と大分異なります。またデジモンにかかせない進化にあたるのが、アプリンク(アプ合体)と呼ばれる、アプモン同士を合体させること。等身の低かったキャラが、イケメンになって相手をすさまじい力で蹴散らします。成長期から成熟期や、究極体に進化している感じですね。

 ハルの当面の目標は、トラブルの元凶となっている人工知能・リヴァイアサンを止めること。ハルはアプモンが起こす事件を解決するたびに少しずつ成長して、責任感も芽生えて憧れの主人公らしくなっていきます。

『アプモン』は『デジモン』を現代風にアレンジしたような作品なので、『デジモン』を知らない新規ファンはとっつきやすいかもしれませんが、『デジモン』ファンからするとどうしても受け入れづらい部分もあるようで、ネットでは割と否定的な意見も。ただ、『デジモン』のアニメやマンガのストーリーは、作品ごとに世界観やデジモンの立ち位置が全く異なるので、アプモンもアリと言えばアリじゃないでしょうか。でもおなじみのデジモンが一体も出ず、新規のキャラのみで構成されているのはやっぱりファンとしては少し寂しい。

 マンガは話しの展開がすさまじく早く、絵も細部まで丁寧に画面びっしり描きこまれて見ごたえは抜群。『デジモン』として見なければ不満はありません。『デジモンユニバース アプリモンスターズ』はデジモンファンじゃなく、『ロックマンエグゼ』ファンにお勧めしたい一冊です。
(文・白子しろこ)

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