『サクラクエスト』3話 町の発展とか正直どうでもいい、住む権利はあるけど、盛り上げる義務はないでしょ

■そんなにみんな興味ない

本屋「観光客なんて呼ばなくても、うちは今のままでなんとかやっていけてるからねえ。ま、将来的には子どもも減って厳しくなるだろうけど、その頃には多分この店もやってないだろうし」

 いろいろな人の、冷たく聞こえる本音を知ることができたのが、今回の大きな一歩だ。
 観光どころじゃないのだ。日々の生活が満ちているなら、新しいことに手を出してもしかたないし、虚しいだけ。町のために、未来のために、なんてきれいごとでしかない。自分たちが10年後同じ町に住んでいるかどうかすら、わからない。
 都会だって同じだ。町に住む権利はあるけれども、町をみんなで盛り上げる責任はない。

『サクラクエスト』3話 町の発展とか正直どうでもいい、住む権利はあるけど、盛り上げる義務はないでしょの画像2『サクラクエスト』公式サイトより、四ノ宮しおり。「だんないよー」って言われたい

 今までは観光協会の丑松と四ノ宮しおり(しのみや・しおり/演:上田麗奈)という「間野山町大好き」な人にしか出会ってなかった。だから、今回の冷淡な対応はどうしても気落ちしてしまう。
 とはいえ、最初がマイナスならば、盛り上げる手は尽くしきってない、とも考えられる。
 しおりちゃんの言うとおり、まだまだ。だんないよ(石川・富山の「大丈夫だよ」という方言)。

■若者・バカ者・よそ者

 今回はっきりと出てきた、地方創生の3つの柱、若者・バカ者・よそ者理論。
 出てくる女の子たちはみんな若いとして、三拍子そろっているのは由乃くらい。

「よそ者」であることはとても大きい。なんせ町に染まっていると、限界を突破したり、新しい切り口を見つけたりするのが、困難だからだ。
 しおりは間野山町をとても愛している若者。しかし外からの視点がないため、一生懸命だけど保守的。みんなをつなぎとめる役割としては大きいけれど、新規の案は作っていない。

 よそ者として東京から来た香月早苗(こうづき・さなえ:演/小松未可子)や、夢破れて後ろ向きなところが多い緑川真希(みどりかわ・まき/演:安済知佳)は、由乃にはできない手堅い仕事ができる。ただし職業経験が多い分、安全を取って踏みとどまりがち。
 切り札になるんじゃないかと思うのはオカルト好きの引きこもり・織部凛々子(おりべ・りりこ/演:田中ちえ美)だが、ちょっと今はジョーカーすぎて読めない。

 由乃はバカ者力がすごく高い。後先を顧みず、突き進む力を持っている。タロットで言うところの「愚者」だ。町の人に「この町の魅力は?」なんて聞くのは本当におバカだけど、彼女は聞く実行力がある。
「伝統に縛られない」「どっちだっていい」と誰か言わないといけない。言えるのは彼女しかいない。スピーチの壇上で、間野山町観光の過去のやり方をバッサリ切った彼女に、丑松は拍手している。

 今は町の人の顔も、町の空気も、何もかもが冷たく描かれている。おそらく由乃視点で見たこの状況の厳しさの演出なんだろう。
 その中で、ドヤ顔でいようとする由乃の姿は、(責任感とか後先とか考えていないこともあって)キラキラしている。いいじゃない、前向きな顔の子は、背中押したくなるよ。

 ところで最近、兵庫県福崎町のゆるキャラがゆるくない、と話題になった。名前はガジロウ。

『サクラクエスト』3話 町の発展とか正直どうでもいい、住む権利はあるけど、盛り上げる義務はないでしょの画像3子ども大泣きキャラ。これぐらいのインパクトはありだと思う

参考:柳田國男の故郷・福崎町、怖すぎるゆるキャラで観光客が増える(Jタウンネット)
参考:ゆるキャラグランプリ ガジロウ

 かわいくないしゆるくないし、尻子玉抜くし。でも観光的には大成功した。
 だからきっと「チュパカブラ」も、案自体は悪くなかったと思うんですよねえ。やり方が悪かったか、早すぎただけじゃないかな。

(文/たまごまご

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