【劇場アニメレビュー】劇場クオリティな仕上りがうれしい『チェインクロニクル 〜ヘクセイタスの閃〜』

 また原作ゲームはそれこそ200名(シリーズ通産だと800名超)を超えるキャラクターが登場するのだが、アニメでさすがにそれらすべてを網羅するのは無理とはいえ、諸所の状況に応じて可能な限りのキャラを出していこうという姿勢には好感が持てる。

 作画自体も映画館の銀幕大画面に映して遜色のない域に達しており、そもそも各キャラクターデザインもシンプルながら芳醇に存在感を発露させた、良い意味での“まんが映画”といったテイストが作品全体から醸し出されているので、それもまた見ていて好もしいところである。

 あと、これは決して批判ではなく、逆に興味深いところでもあったのだが、先にも記したユーリが黒に染まってしまうくだりがイベント上映版では意外に盛り上がりに欠けていたことで、これはTVシリーズ全12話の構成と、3部作の映画としての構成の差でもあるように思えた。

 このくだりはTVシリーズでは第6話という、ちょうどドラマの折り返し点ということもあって実に印象深いものになり得ているのだが、イベント上映版では第2章の前半部に位置していることで、どこか盛り上がりのバランスが悪くなっているのだ(これが1本6話ずつの2部作として作られていたら、ちょうど第1部のクライマックスに位置することになるので、大いに盛り上がったことだろう)。

 また毎週1話ずつ見ていくのと、4話分一気に見るのとでも、当然ながら印象は異なるわけで、その意味でもこの3部作はやはりTVアニメのイベント上映なのだなという、当たり前の結論にたどり着かざるをえないところはあるのだが、それでも個人的にはこの作品を、まずは銀幕の大画面で見ることができたのは、劇場用の5・1CH音響の妙も含めて、非常に有意義であったと思っている。

 本作に限らず、アニメーション作品は全般的に画面が大きければ大きいほど魅力も増大していく映像ツールであり、その点、実写作品と大きく異なるところではないだろうか。実写の場合、その資質に見合った画面の大きさがあるように感じられるのだが、そもそも虚構の産物でもあるアニメーションは、だからこそエンタテインメントとして見る側の夢をも増幅させてくれるし、その画面が大きければ大きいほど効果を発揮するのだ。

 今回のようなTVアニメーション・シリーズの先行イベント上映は、今後も引き続き行われてくれると正直うれしい(もちろん本作のようにある程度のクオリティが保たれていれば、の話ではあるが……)。
(文・増當竜也)

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