西尾維新・原作の『傷物語』劇場用映画全3部作が、2016年1月8日公開の『I鉄血篇』(64分)、同年8月19日公開『II熱血篇』(69分)を経て、年を越えた17年1月6日に公開『III冷血篇』(83分)によって、ついに、というか、ようやく完結を迎えた。
最近はこうした中編シリーズ型(今回の『III』は長編といっていい長さだが)のアニメーション映画の興行形態は、イベント上映も含めて一般化して久しいものがあるが、長編で一気にやってくれよと言いたくなるのも本音ではあり(正直、期間が空いてしまうと、前作までの細部を忘れてしまうこともしばしなのだ)、この3部作に関してはちょうど1年で完結している分、まだ良い方かなと思えないこともない。
とはいえ、最初に製作が発表された2010年以降なかなか音沙汰がなく、ようやく詳細が出たと思ったら、まさかの3部作で正直うんざり。そんな経緯があっただけに、やはり今回も無理に3部作にする必要はなかったのではないかという原作ファンの声もチラホラ聞こえてくるが、こうしたシリーズものは映画館に定期的に通う癖をつけさせてくれる部分もあるので、個人的にはそう嫌な気はしていない。
もっとも、それは作品の出来が面白ければ、という大前提があってのものであり、では<物語>シリーズ第1弾『化物語』の前日譚でもある『傷物語』の映画化は果たして成功しているのかと問われると、ちょっと首を傾げてしまうところもある、というのが偽らざるところ。
これまでTVアニメ『化物語』(09年、TOKYO MXほか)を皮切りに幾度も映像化され、そのつど好評を博してきたアニメ版<物語>シリーズではあるが、その中で『傷物語』を劇場用映画として、しかも3部作仕様で発表しようという意図は、今回の『III』を見終えたばかりの今、やはりピンと来ないものがあるのだ。
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