【劇場アニメレビュー】劇場クオリティな仕上りがうれしい『チェインクロニクル 〜ヘクセイタスの閃〜』

1702_cc.jpgアニメ『チェインクロニクル~ヘクセイタスの閃(ひかり)~』公式サイトより

 2013年にセガゲームス(当時セガネットワークス)から配信されたスマートフォン向けのオンラインカードバトルRPG『チェインクロニクル』は、その後も第2部『チェインクロニクル~絆の新大陸~』(14)、第3 部『チェインクロニクル3』(16)と、シリーズの新作が発表され続けており、また14年にはOVA『チェインクロニクル~ショートアニメ~』も製作されている。

 そして17年、この人気ゲームを原作とするTVアニメーション・シリーズ『チェインクロニクル~ヘクセイタスの閃(ひかり)~』全12話が、TV放送に先駆けて全3章(1~4話/5~8話/9~12話)の構成で3カ月連続、各2週間限定イベント上映された。

 このイベント上映版3部作、基本的な内容こそTV版と同じだが、オープニングとエンディングの歌と映像はTV版と異なっており、また単にTV版を羅列しているのではなく、それぞれきちんと本編4話分の頭と尻をつないだ1本の作品として仕上げているので、鑑賞の流れを途切れさせることのない“映画”として集中して見ていられる。

 基本ストーリーは、黒の王率いる黒の軍勢と義勇軍との世界を懸けた戦いを描いていくもの。ゲームではプレイヤー=主人公として戦いつつ義勇軍の仲間を増やしていくわけだが、今回はゲーム第1部第10章をベースにしながら、主人公を若き戦士ユーリと設定し、彼が率いる義勇軍と黒の軍勢との決戦からドラマの幕が開き、しかもそこでユーリが黒の王に敗北してしまうという、いきなりクライマックス&バッドエンドという、見る側の意表をついた展開を示す。

 さらに驚かされるのは、第2章(TV版第6話)でユーリが闇の力に屈してしまい、以後黒騎士と化して義勇軍の敵となってしまう(黒の勢力は、人間の負の感情につけこみながら、次々と仲間を増やしていくのだ)。

 代わって、それまでユーリを慕っていた少年アラムが新たな主人公として、ユーリの心を取り戻すべく奮闘していく。

 ゲームをある程度プレイして世界観を把握している人ならある程度の予想がつく展開かもしれないが、この劇場版で初めて物語に接する人には衝撃であろう。シリーズの前半と後半で主人公が代わるというのも英断ではあったと思う。

 いわゆる光と闇の闘いを描いたファンタジーとして、本作のストーリーそのものは決して真新しいものとはいえず、諸所に『スター・ウォーズ』や『ロード・オブ・ザ・リング』など過去のファンタジー名作群を連想させるところもままあるのだが、冒頭いきなり主人公らが敗残の兵と化し、そこからもたらされていく人間なら誰しも持ち得る負の感情に徹底的にこだわりつつ、マイナスからいかにプラスへと転化させていくかに腐心しているのが、この『ヘクセイタスの閃』の最大のポイントにもなり得ているように思えてならない。

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