『こいとうたたね』(鳥生ちのり) 物語が気になって寝られなくなる快眠マンガ 

 物語が気になりすぎて、眠れなくなるじゃないか!

 そんな本末転倒な気分になっている読者もいるんじゃないでしょうか。鳥生ちのり『こいとうたたね』(アスキー・メディアワークス)。

 この作品、読者に快眠法を提供してくれるという、とても実用性のあるマンガです。第1話の始まりは、同棲してるらしきカップルの日曜日の買い物風景から。ご飯のあとはイチャラブかと思いきや、女の子のほうからは「姉弟みたいなもんなんだから」という言葉が。ん? と読者に疑問を感じさせながらも、物語の中では宅配便で、新しい枕が届いて本題の快眠法の説明に。第1話では、快眠のために自律神経を整える呼吸法が紹介をされます。

 それを解説しながら、女の子は就寝。まったく、エッチなことにはなりません。

 そして、終盤で描かれる翌日の光景。ちょっと冷めた感じの男の子・相模貴一は高校生。そして、女の子・安城羽奈は、その学校の先生でした。

 ええ! 同棲カップルがラブイチャしながら、快眠法の蘊蓄を語るマンガじゃないのか!

 これは仰天です。

 この2人、オンオフの切り替えは完璧です。

 家に2人でいる時の羽奈は、貴一に頼りっぱなしのポンコツ。服装も、とにかくだらしがありません。でも学校では、綺麗だけど厳しい先生といった雰囲気。しかも、みんなに内緒で付き合っているとかではなく、どうも何かのいきさつで同居しているだけ。もとは、年の離れた幼なじみだったということが、示唆されます。

 しかも、お互いに一線は引いているけど、愛はありそうな感じではありませんか。

 そうした微妙な恋愛模様を描きながら、肝心の睡眠に関する蘊蓄は、さらりと語られます。途中から、作者自身の技法も進化しているのか、ホントにさらりとした感じ。この押しつけのなさゆえに、読みやすいのです。

 蘊蓄を語るマンガの問題点として、やはり解説ページで物語が分断されるということがあります。この作品は、物語にさりげなく蘊蓄を混ぜ込むことで、非常に読みやすい作品となっています。

 しかし、前述の通り2人の関係が気になることときたら……快眠法を知っても、余計に寝られそうにありません。
(文=大居候)

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