前作からパワーアップ! 「女性の美しさを出せる」舞台『魔銃ドナークロニクル』記者発表会レポ

 2016年9月28日(水)からアリスインプロジェクトの舞台『魔銃ドナークロニクル』が上演される。それに先立って、9月17日、東京にて公演記者発表会が行われた。

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『魔銃ドナークロニクル』は、アリスインプロジェクトの2016年秋公演として上演が決定したもの。本作は、昨年の6月に東京で上演され熱狂的な支持を得た作品で、全16公演が完全ソールドアウトになった。初演と同じく、まつだ壱岱氏(演出)&細川博司氏(脚本)のコンビによる殺陣とハイスピードなガンバトルが繰り広げられるアクション作品。女性キャストオンリーの総勢32名の華やかな座組となる。不死身の吸血鬼「バイツ」を倒すため、己の血液を銃に込めて撃つ厚生省異端審問官「神酒(みき)」と、優秀な人類を同族化し千年王国設立の理想を掲げる吸血鬼「彼岸子(かのこ)」。それぞれの思いをかけて戦うアクションストーリーとなっている。

 本作について、演出のまつだ氏は、「クロニクルって、どんな意味だっけ?(クロニクル=年代記の意)」ととぼけてみた後、「前回と比べて、パワーアップしています。登場人物も増えてます。(高橋明日香が演じる)浅倉神酒と(伊藤彩沙が演じる)妹、玉串との関係性が、ハッキリ出ています。何のために戦うのか、何を背負っているのか、より明確になりました」と語った。作品自体は、「基本的なストーリーは変わらず、深みを増した」ものになっているという。座組については、「フレッシュなんですよね。アリスインプロジェクトをやっていて、これだけメインキャストが初めてというのは初じゃないかな?」と。「僕の演出を理解してもらうのに、少し時間がかかる感じもしますが新鮮です。自分の演出を見直すきっかけにもなっていて、面白いです」とも語っていた。

1609_majyu_02.jpg御船彼岸子役の八坂沙織。

 主演、御船彼岸子(みふねかなこ)役の八坂沙織は、5年ぶりにアリスインプロジェクトの舞台に登場する。彼女は、11年11月に上演された『時空警察ヴェッカーX ノエルサンドレ』で、時空刑事アリサ役を演じていた。この作品が八坂自身の初舞台だったこともあって、アリスインプロジェクトについては思い入れもあるようだ。『時空警察~』の会場は荻窪・魁ホール(120席)であったが、今回は六行会ホール(250席)と座席数も倍の大きさ。八坂は「成長した姿を見せられるよう頑張ります」と意気込みを語っていた。また、今回の作品について「基本的には人間ドラマです。(自身が演じる)彼岸子は自分の理想を追求し、神酒は自分の命を削ってまで戦う。そういう一人一人の人間ドラマが見どころになっています。また、アリスの舞台は女性の美しさを出せる舞台だと思うので、女性らしいところを沢山見て頂けたらと思います」と語っていた。

1609_majyu_03.jpgハイネ・アドラー役の橋本耀。

 橋本耀が演じるハイネ・アドラーは、バイツの中でも「貴族種」と呼ばれるエリート層に属する。そのため、言葉遣いが他のバイツや人間とは違って台詞を覚えるのも難しいようだ。「舞台はこの作品で2回目で、演技経験は浅い上、アクションも初めてなので、皆さんに教わりながら頑張りたいと思います」と橋本。今年8月に上演された舞台『大きな虹のあとで~不動四兄弟~』での演技についても好評で、AKB48時代もMCが面白いと評判だった彼女、今回は自身のキャラクターとは違う雰囲気の役を演じることになるが、コツコツと努力して本番には気高いイメージのハイネ・アドラーが見られるのではないだろうか。

1609_majyu_04.jpgコートニー役の大塚香奈子。身体能力の高さでは定評がある。

 大塚香奈子が演じるコートニーは、バチカンから送られたバイツを退治するエージェント。バイツをせん滅するためならば手段を選ばない冷酷さをみせる。大塚は、「こんなに冷酷な役は初めてで、今年3月に宮本武蔵に変わるという役を演じたのですが、その時よりもっとブッた斬っていくという冷酷さがあって、家で台本を読んでいると鬱になりそうな感じです(笑)。でも、毎日可愛い女の子たちに癒されてがんばってます」と語っていた。

 大塚は、中学時代に柔道で全国大会に出場するなど、幼少期から身体能力が高く、バレエや声楽、ダンス、アクロバット、殺陣など多方面で才能を発揮している。舞台についても、今年だけでも『宮本武蔵外伝~我が宿敵は女子高生成り~』(3月・三越劇場)で主演を演じたのをはじめ、『三銃士』(8月・日生劇場)、『万華の宴』(8月・日伝承ホール)と立て続けに大きな舞台を経験しているだけに、本作でも好演が期待される。

1609_majyu_05.jpg坂上桜子役の舞川みやこ。

 舞川みやこは、この作品の中で「女優」の坂上桜子を演じる。役どころから察するに、桜子自身が戦うことはないと見られるが、物語の鍵となるキャラクターを、いかに演じるかが非常に大事になってくる。記者発表会前の舞川のブログには「自分のやりたいことさせてもらえる環境なのに、いま頑張らなくていつ頑張るんだ」と記されていて、その気合の入り方が確かなものだと感じさせる。また、今年4月に上演された舞台『透明少女』(本作と同じ、まつだ壱大氏の演出作)では、ダブルキャストという立場だったが、今回シングルキャストとして物語の中心的な存在となることも、ステップアップとして捉えてもいいのではなかろうか。舞川は、「女の子だけの舞台の中でも、桜子ちゃんはヒロイン的な立ち位置にいて、短い上演時間の間の中で、いかに変化していくのかを見せられたらいいと思っています」と語っていた。

1609_majyu_06.jpgイリア役のMIZ。

 MIZは、劇中でバイオリンを演奏をするイリア役。MIZ自身はEXILEやBABYMETAL、私立恵比寿中学、ゴールデンボンバーなどの楽曲・演奏に参加しているバイオリニスト。今回は演奏だけでなく戦闘シーンを含めた演技が求められる。「台詞がある舞台は初めてで心配なんです。でもいっぱい助けてくださるんだろうなと思って(笑)、大丈夫だと思います」と話していた。広い六行会ホールを活かした演出がされるのか否かは、今後の稽古の中で決めていくようなので、そのあたりも期待したいところだ。

1609_majyu_07.jpgアリスインアリスからは、浅倉神酒役として高橋明日香、秋津ゆらら役として花梨が出演。

 浅倉神酒役の高橋明日香、秋津ゆらら役の花梨は、前回の『魔銃ドナー』に出演した貴重な存在。独特な世界観を持つ本作を初めて経験するキャストに対して、物語をどう解釈するか、演出のまつだ氏の他に伝えることが出来るのは、彼女たちをおいて他にない。また、演技経験も豊富な2人がしっかりと土台を固めることで、舞台全体が締まってくるのではなかうか。また、記者発表会においては恒例の「呼ばれて、飛び出て、花梨ちゃーん」という自己紹介で、場を和ませていた花梨。女性だけで構成される座組の中で、いい雰囲気をつくる役割も担っているように思えた。また、アリスインアリス&フレンズの最新シングルCDには、この舞台のオープニングテーマ曲が収録されているので、あわせて楽しみたいところだ。

1609_majyu_08.jpgシスター・ベルデナッド役の中嶋春陽。

 そして、もう一人気になるのが、シスター・ベルデナッド役の中嶋春陽。この役は、文字通りシスターなのだが、バイツを狩るコートニーらの上司にあたる役柄。中嶋本人は、まだ17歳の高校生。実年齢よりかなり上の役を演じることになるのだが、声や話し方に落ち着きがあり、実に大人っぽい。本作のビジュアルもすでに公開されていて、シスターの衣装に身を包んだ中嶋を見た時、率直に高校生には見えなかった。出演する舞台としては昨年2月の『疾風!!新選組~時を駆け抜けた漢たち~』以来の2作目となるが、昨年公開の映画『いいにおいのする映画(Be A Light To The World)』やテレビドラマや企業CM、ミュージックビデオなど、映像分野での演技経験は多数あり、個人的には本作で、一番期待している役者と言いたい。

 そして、今回、面白い試みと言えるのが総合格闘技「Team DATE」から、華DATE(月組)と華蓮DATE(星組)がキャストに加わっていることを挙げたい。ダブルキャストで、ともにバイツのヘレン役を演じる。「Team DATE」はインドの王宮武術「マハラジャ・カルーリカ」をベースにした格闘技。華蓮DATEは12歳という若さながら、格闘技歴9年という猛者。彼女は、以前TVのインタビューで、格闘技中心の生活で勉強は得意でないという発言をしていたが、「練習が楽しい」という持ち前の努力家体質のためか、演出のまつだ氏の指示をキッチリ覚えていて、稽古中、Team DATEの先輩である華DATEに教えるという場面も多々あるそうだ。アクションの多い舞台の中で、Team DATEの二人が、どんな活躍を見せるのか楽しみで仕方がない。

1609_majyu_09.jpg等身大パネル「アクトポップ」のイメージ。

 さまざまな新要素が加わってパワーアップした舞台『魔銃ドナークロニクル』。もう一つ興味を引いたのが、キャストに送る花ならぬ等身大パネル「アクトポップ」。指定のサイトから作成をオーダーすると、公演の公式写真のデータを元に作成された等身大のポップが飾られるという仕組み。公演期間中は劇場ロビーに展示、公演後は持ち帰りが可能とか。オプションでキャスト本人にサインを書いてもらったりも出来るらしい。スタンド花ももちろん良いが、こちらも目立って面白い。オーダーは、すでに専用サイト(http://alicein.info/actpop/)で受付が開始されているので、興味のある人はチェックしてみてはいかがだろうか。
(取材・撮影/矢口 明)

1609_majyu_10.jpgシングルキャスト。左から花梨、高橋明日香、八坂沙織、橋本耀、大塚加奈子、舞川みやこ、MIZ。
1609_majyu_11.jpgシングルキャスト。左からバトラエル役の新木美優、遠野ゆうき役の青柳伽奈、エリー役の樫村みなみ、ミュート役の山本真夢、シスター・ベルデナッド役の中嶋春陽。
1609_majyu_12.jpg月組。左から、神白紗綾、松樹侑奈、高橋友里、森ふうか、星野芽生、華DATE、花岡芽佳。
1609_majyu_13.jpg星組。左から、林田鈴菜、大庭早紀、華蓮DATE、椎名つかさ、岡田花梨、嶋村瞳、栗野春香、紗夜。

■舞台『魔銃ドナークロニクル』
日程:2016年9月28日(水)~10月2日(日)※全8公演
【公式サイト】http://alicein.info/

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