いよいよヤバそうな秀吉、ようやくデレた(?)吉田羊、そして盛大に建つ兄弟別離フラグ……『真田丸』第29話「異変」レビュー!

 また、秀吉弟・秀長や秀次が先に退場してしまっているのも、ここまで秀吉が衰えてしまうと実に痛い。石田三成(山本耕史)は頑張っているけど、大谷吉継がいないのも地味に効いているし、茶々も拾を盾に強権を振るうようになってきたのも気になるところ――とここまで書いて気づいたのだが、知らず知らずのうちに随分と豊臣家びいきになってきている。思えば4月10日放送の「大坂」から3カ月(作中では約9年間も経っている)も大坂編が続いているのだから当然かもしれないが、信幸と信繁が別々の道を行くのも無理はないと、視聴者も充分に納得できる構造になっているのだと、改めて感心した次第。

 本田忠勝(藤岡弘、)の娘・稲(吉田羊)を嫁にもらっただけあって、時と場合によっては徳川につくという信幸と、最初の嫁・梅(黒木華)を徳川との合戦で亡くし、豊臣家にも恩義を感じつつある信繁。「真田の家を大事に」というのは変わらないのに、信幸に対してもあくまで「殿下にはお変わりありません」と、嘘を押し通す信繁。秀吉の死も近いが、兄弟の別離ももう近いんだなと感じさせる一幕だった。

 一方で信繁に新しい嫁もきたり、地震もきたり、片桐且元(小林隆)がちょっとかわいそうだったり、見どころが多かった第29話。嫁に浮気を怪しまれ問い詰められ、ごまかす昌幸(草刈正雄)も面白かったが、注目は信幸だろう。ようやく稲がちょこっとだけデレたり(彼女に飛びつくシーンのBGMがなぜかホラーっぽいのが笑える)、地震にあえばちゃんと嫁2人をしっかり助けにいくくだりは格好良かった。

 さらに嫁2人ともが懐妊して真田家にとってはめでたい限り。その後、その2人の血統が相続権を巡って争いをはじめて、信幸は90歳をすぎてから現役に復帰するはめになったりと、ずっと苦労させられる。周囲に振り回されて苦労する信幸役に大泉洋というキャスティングは、しみじみナイスなキャスティングだったなと感心してしまう。

 なお、ようやくデレて一気に懐妊まで至った稲役の吉田羊が25日放送の『鶴瓶の家族に乾杯! 真田丸SP』へ出演。ドラマ内ではまだ一度も笑顔を見せたことがないのに、縁の地・群馬県沼田市をぶらりと歩き、楽しそうに笑顔を披露してくれた。その落差が非常に面白かったので、見逃したという方は、木曜日深夜の再放送をチェックしてみてはいかがだろうか。
(文・馬場ゆうすけ)

真田騒動―恩田木工 (新潮文庫)

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信幸お兄ちゃんの晩年の苦労がわかる名作です

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