「アイドルとヲタク」の関係に迫った『アイドルとヲタク大研究読本』を現役アイドルヲタクが読んでみたら

 ピークは越えたと言われながら、まだまだ活況を呈し、すでに日本固有の文化として定着た感のあるアイドル業界。タレント本や写真集はいわずもがな、研究本や暴露本的なものも多数出版されている。

 そんな中、「アイドルとヲタクの距離感」をテーマに書かれた研究本『アイドルとヲタク大研究読本』が5月19日にKANZENから発売された。

 内容は、現役アイドルへのインタビュー(主にヲタクとの関係について)、属性別ヲタの特性分析、現役ヲタクによる討論会、今年注目のアイドル紹介など、興味深い内容が満載だ。

 そして、この本の一番の特徴は、アイドルとヲタクの関係を描いたイラストで人気を博し、Twitterフォロワー6万人を誇る「ぺろりん先生」こと、ベースボールガールズのメンバー鹿目凛(かなめ りん)という現役アイドルが「案内役」というポジションで作成に関わっていることだ。

 これまで、アイドルの側から見たヲタク、ヲタクの側から見たアイドルというレポや論評は多く見られたが、このような形態で書かれたものは初めてではないだろうか。

 例えばディベートの例を挙げるまでもなく、真実というものは、えてして相反する(もしくは立場が相対する二者)の間に見えてくるものだ。

 その意味で、本書はよりリアルなアイドル現場をあぶりだした一冊となりうるのではないだろうか。

 そして、興味はもう一つあった。

 そうして露わになったヲタクというものを、自身がアイドルヲタクである私が目の当たりにしたとき、一体どんな感情が湧き上がるのか。それを体感してみたかった。

 そんな期待と、好奇心、少しばかりの不安を抱いて読み進めたこの本。一言で言うと、面白かった。何度も笑い声を上げてしまい、そして何度かうるっとした。そこにはヲタクからアイドルへの愛情が感じられたし、何よりアイドルからヲタクへの愛があふれていたからだ。

 まず、インタビューに取り上げたアイドルのキャスティングがいい。

 でんぱ組.incの古川未鈴をはじめ、SUPER☆GiRLSの浅川梨奈(なな)、寺嶋由芙、dropの三人(三嵜みさと、滝口ひかり、大場はるか)、絵恋ちゃん、など。

 ここは一般の読者には伝わりにくいかもしれないが、彼女たち自身がヲタクであったり、ファンへの対応が素晴らしかったり、あるいは他にはないような特殊な関係を築いていたりと、いずれも「アイドルとヲタク」については、一家言持っている方々なのだ。

 彼女らによって語られる、ファンとの関係はさまざまだ。「アイドルとファンは近くにあってはいけない」、「ファンとの親近感が大切」、「自分より目立つヲタが嫌い」など。

 普通のアイドル本であれば、ある程度ストーリーを作ってまとめそうなところだが、この本ではそうはしていない。

 でも、それでいいのである。いろんな考えのアイドルがいて、それぞれにその考えに同調したファンがついている。それはたぶん、とても幸せなことだ。そんな風に私には読み取れた。

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