アイドルとヲタクの関係性を見つめ直す今こそ読みたい『アイドルとヲタク大研究読本』

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『アイドルとヲタク大研究読本』（KANZEN）

　21日の夕方に都内で起こった女性アイドル刺傷事件。犯人は被害者のファンを名乗る男性だったとして、今、アイドルとファンとの関係性や、ファンとしての在り方が問われている。この事件によって、今後、アイドルファンのイメージが悪くなり、「アイドルファンって怖い」などとネガティブなイメージを持たれる可能性もゼロではないだろう。

　そんな中、にわかに注目を集めいているのが、今月19日に発売された『アイドルとヲタク大研究読本』（KANZEN）だ。同書、には、「アイドルとヲタクの絆と距離感」がぎっしりと詰まっている。発売以降、書店では品切れが続出し、Amazonランキングでは一時、11位を獲得するなど話題を呼んでいる。本のイラストとインタビュアーを務めるのは、現役アイドルとして活動する傍ら「月刊エンタメ」にて4コマ漫画を連載を持ち、イラストの創作活動も行っている「ぺろりん先生」こと鹿目凛だ。

　彼女が手がけたこの『アイドルとヲタク大研究読本』。その内容は3部構成になっており、1部では、でんぱ組.incの絶対的センター・古川美鈴や、新潟の特産品「やわ肌ねぎ」PRのために生まれたNegicco、ファンの心を鷲づかみにする対応で「釣り師」と呼ばれる・PASSPO☆の根岸愛など、総勢11名のアイドルたちのインタビューを掲載。「誹謗中傷で落ち込むヒマがあったら練習でも何でもすればいい」「サイリウムが禁止されたとき、本物のねぎを振ってライブを盛り上げてくれた」「ファンは“夢を繋いでくれる人”」と、それぞれにアイドルとしての信条、ファンとの距離感や思い出のエピソードなど、普段なかなか語られないだろうヲタクとの関係性について現役アイドルたちの想いがつまったインタビューになっている。

　2部は「DD」「ガチ恋」「TO」「古参厨」などドルヲタの様々な嗜好や気質を解説した“属性図鑑”や“ヲタク診断チャート”、“現場系統別［ヲタク］フロア配置図”、ぺろりん先生によるアイドルとヲタクの“あるある”なイラストなど、“ヲタクの生態と思考”をテーマに展開。

　3部では、ぺろりん先生が所属するベースボールガールズのメンバーによる対談と、個性派アイドル3名による対談を掲載。「仲はいいけど余計な干渉はせず、程よい距離感がある」などグループの“絆”や、ぺろりん先生がずっとメンバーに聞きたかった本心、「“俺を見ろ”ってヲタクは基本的に厄介」「応援電波や推し変の報告はいらない」など、アイドルたちの“本音”が語られている。

　本書に登場するアイドルたちに共通しているのが、ヲタクに対する“感謝”。「ファンからの応援がなかったらステージに立てていない」「アイドルをバカにしないでほしいし、私のことが好きなヲタクたちをバカにしないでほしい」「ファンは家族のように大切な存在」とそれぞれが想いを語っている。ただ、その上で、「やり過ぎはいけない」「迷惑行為はやめてほしい」「（言い過ぎかもしれないけど）一方通行の形。『今日は会える！』と思って来てくれる。そんな距離感がうれしい」「アイドルの私生活にあまり踏み込んではいけないと思う」と、一定の“距離感”は守ってほしい気持ちもあるようだ。ぺろりん先生もあとがきで「近すぎても遠すぎてもダメ。お互いが分かり合えていれば、心の距離は『ヲタクが思うほど遠くもない』んです」と言及している。

　今年4月10日には、所属するアイドルグループ「ベースボールガールズ」の事務所の前プロデューサーによる過去の刑法違反が発覚した影響で、グループとしての活動を休止していたが、本の発売日である19日、メンバー6人揃ってTwitterに以前の事務所を離れること、6人で活動していくことを報告。22日の自身のブログ「ぺろりん先生」では、待っていてくれたファンへの感謝の想いが綴られている。

　ぺろりん先生といえば、昨年、「あずきちゃん」の二次創作イラストの公開や、オリジナルキャラのTシャツやLINEスタンプを販売している“ヨグまつ”こと、いちごヨーグルト祭り氏が自身の画風をパクられたとTwitter上で言及し、騒動に。が、ぺろりん先生は自身のブログに掲載したヨグまつ氏関連の記事を削除してスルー。ヨグまつ氏が問い合わせるも返答はなく、パクリ疑惑や騒動については沈黙のままのようだ……。

　ぺろりん先生の“疑い”はまだ晴れておらず、真相は語られていないが、彼女を含め、アイドルたちがこの本で語っている“ヲタクへの想い”は間違いなく本物だろう。現役アイドルがここまで“ヲタク”について掘り下げ、考察した本が今まであっただろうか。今だからこそ、ヲタクはもちろん、悩めるアイドルたちにもぜひ一読していただきたい。