アイドルの代わりに走った彼らは“幸せ”だったのか? アイドルグループ「Stereo Tokyo」の炎上について考える

 ご存知の方もいるでしょうが、Stereo Tokyoメンバーの岸森ちはなさんは大のアニメ好きでマンガ好き。ご本人のTwitterにも「文豪ストレイドックス面白すぎるし中原中也良きだからずっとお家こもってアニメと漫画交互に見る生活をしたいのかもしれない」(5月1日)、「最近は、もうそう♥えくすぷれす をエンドレスで聴いてるわよ〜〜しあわせ〜〜かわいい( T_T)\(^-^ )」(5月2日)など発言が明らかにアニメヲタク。なので、今回アニメ好きな方々からの批判ツイートは彼女にとってツラかったのではないでしょうか。同胞に嫌われたんじゃないかなと。もしかしたらアニメ好きな方は「Stereo Tokyo さっさと解散しろ!岸森さんだけ、こっちによこせ!」という愛情表現なのかな? 「ブス、さっさと解散しろ!」というツイートも、大好きな女子に素直になれない小学生みたいで可愛い気もしてきます。

 さて、メンバーはともかく「アコギな運営」が嫌だという方もいらっしゃいますね。でもパリピの皆さんは好き好んでこの企画に参加したんですよね。純粋に三浦さんやStereo Tokyoが好きだという方もいれば、「なんか面白そう」だから見に行こうという方もいたはず。前述した通り、CD1枚も買わない人もいたでしょうし、応援ののぼり旗を作って来る人もいれば、ゴール付近で待っていただけの人もいた。ゴール後のミニライブだけ観たファンだっているはずです。たとえが変になりますが「徴兵制」じゃなくて「志願兵」として自分のスタイルで参加したはず。

1604_st_04.jpg「パリピ」と呼ばれるStereo Tokyoのファン。この日は外国人観光客を巻き込んで盛り上がっていた。

 その辺どうなのか実際に聞きたくて、Stereo Tokyo さんのリリースイベントに足を運んでみました。正直なところ、突然紛れ込んだ新参者に心を開いてくれたかというと、必ずしもそうではなかったのです。でも、その気持ちも分かります。マラソン企画でにわかに興味を持ってやってきた、あるいはからかい半分で見に来た輩だと思われても仕方ありませんから。

 そんな中で、真っ先に話をしてくれたのは、マラソン企画で開始50mの位置から7㎞走った「すーさん」と呼ばれるパリピでした。映像を見た方はお分かりかと思いますが、少し小柄な穏やかそうな男性。パーティーと呼ばれるStereo Tokyoのライブでは、一眼レフカメラを持って程よく撮影をしつつ。ステージを見つめるオジサマです。

 まずStereo Tokyoのファンになったキッカケは何なのかを訪ねてみたところ、「三浦菜々子さんの舞台を観て、そこからファンになりました」と。割と予想外の答えでした。というのも、昨年末とある対バンイベントでStereo Tokyoのスタッフさんに話を聞いたところ「ファンの半分はアイドルヲタク、残り半分は元々クラブにいる方たちです」とのことだったので。舞台を観る人間にもアイドル好きがいるのは確かですが、そこからStereo Tokyoのファンに流れるのは割とレアケースなのかなと思うのです。

1604_st_03.jpgStereo Tokyoの三浦菜々子。今回のマラソン企画は、そもそも彼女とほかのメンバーとの溝を埋めることが目的だった。

 さて肝心のマラソン企画への参加については、やはり三浦さんへの応援の気持ちから、というのが言葉の隅々から伝わって来ました。「CDを5枚購入すると三浦さんの代わりに1㎞走れる」という設定ですから、7㎞で35,000円支払った彼に「土地転がしとか、お金持ちなんですか?」という質問をぶつけてみたところ「そんなわけないじゃないですか」と大きく首を振っていました。純粋な気持ちの持ち主に何とも無粋な振る舞い、なんとも失礼でした。ごめんなさい。

 そんな彼らパリピの純粋な気持ちをも、経済的な限界点を超えることは出来ないので、Stereo Tokyoのメンバーがお昼ご飯を食べ終えた辺りから、CDの購入はパタリと止まります。

 そして、この日心配されていた雨も降り始め、容赦なく三浦さんの頭上から降り注ぐことに。三浦さんはスケジュールの関係で、事前練習がなかなか出来ず、これまでの人生の中でも最長で8㎞までしか走ったことがないという状況で結果20kmも走り切ったのは見事と言っていいでしょう。途中、お題をクリアすればヘルプで走れるというメンバーも河村ゆりなさんが1.8㎞走った他、ラスト1km 程をメンバーが並走したという程度で、さらりと完走する辺り、三浦さんとStereo Tokyoの底力を見た気がします。

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 そして、繰り返しの様になりますが、パリピやスタッフの方々を含めて、ひとことで言って「楽しいお祭り」だったんじゃないかと思います。そして、炎上させていたアンチの方々も実はこのお祭りに参加したかったんじゃないかなと、勘ぐってみたり。

 さて、ここで唐突ですが、SIONの7枚目のオリジナルアルバムに収録されている曲『トタン屋根の小屋に住む老人』のラストにある一説を引き合いに出して、この駄文を終わらせたいと思います。

「変わり者だからこわいのか 汚いからいやなのか 気味が悪いからこわいのか それとも幸福にみえたからいやなのか」


 私自身も、初めてパリピの皆さんを見た時「バカ騒ぎをしていて、取っつきにくい」と思ったのも事実。去年「TOKYO IDOL FESTIVAL」の取材に行った時も同じ。でもね、本当はアホになれる彼らがうらやましかったのかなとも思うのです。
(写真・文/三浦蘭)

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