「ポケットマネー」とかいってる場合じゃない! 掲載誌変更騒動に端を発する「コミックバベル」のブラックな常識

komikkubaberu2.jpg『COMIC BAVEL 2015年 6月号』(文苑堂)

 掲載しなかったら、原稿料を支払わない。マンガ家とのトラブルに端を発する成人向け雑誌の対応に、Twitterでさまざまな証言が飛び出し注目を集めている。

 渦中の雑誌は、成人向け取次大手としても知られる文苑堂が発行する成人向け雑誌「コミックバベル」だ。

 ことの始まりは、13日に同人誌で活動しているマンガ家・YAC氏のツイート(@yacdom)。それによればYAC氏は、昨年「コミックバベル」の編集者から発注を受けて原稿を制作。ところが、姉妹誌の「コミックエウロパ」で穴が空いてしまったことで、編集者が掲載誌の変更を依頼。それに対して、YAC氏が「コミックバベル」に向けて描いた作品であることを理由に断ったところ、編集者は「データはすべて破棄します」と返信してきたのだという。

 公開されているimessageのスクリーンショットでは、編集者が当初、YAC氏の原稿を穴埋めに使うことを明言せず、「コミックバベル」では「なかなか掲載できない」などと、意図を誤魔化そうとして不信感を煽った経緯が記録されている。

 この後のYAC氏のツイートによれば、編集者は電話で謝罪。その上でYAC氏は両誌への掲載を断ったのだが「掲載しないとなると原稿料を支払うことは出来ません、もしよければ私のポケットマネーでお支払いしますと言われ、お金の問題にされてはかなわないので全てお断りしました」としている。

■掲載しなくても原稿料の支払い義務はある

 編集者の雑な対応も問題だが、やはり大きな問題は、仕事をさせておいたのに対価を支払わないこと。この騒動に関連して、同誌がこれまでも編集者が気に入る原稿でなければ、原稿料を支払わない事態が常態化していることを匂わせるツイートも散見される。

 果たして、掲載しなかったから原稿料を払わないという対応は許されるのか。

 不払いをはじめとする出版業界のフリーランスの労働問題を数多く扱ってきた、ユニオン出版ネットワーク(出版ネッツ)の北健一氏は語る。

「作家が発注を受けて作品を納品している以上は、出版社は対価を支払う義務があります。たとえ、掲載しなかったとしても、出版社側の債務が消えるわけではありません。出版社の事情で作品が出版されないという問題は、ままありますが、だからといって原稿料を支払わなくてはよいわけではありません」

 仮に納品された作品の質が著しく低い場合には、出版社が支払いを拒否する理由にはなるかもしれないが、発注した時点で作家は納品の義務、出版社には支払いの義務が生じるのが大前提となるわけだ。

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