青空明『おしりマカロン』誰かのお尻をもみたくてたまらなくなる一冊 

 なんでこんなマンガを買ってしまったのだろう。あまりに強引なバカバカしさが笑いを呼ぶ、青空明『おしりマカロン』(講談社)は、JKがひたすら尻をもみまくるマンガです。

 ベースは萌え四コマなのですが、基本は尻をもんだり、尻について語り合ったりするだけなのです。

 ヒロインの相田るかは、女の子のお尻が大好き。毎日、おねえちゃんのお尻を世界一かわいいお尻だといってもんでいます。完全に変態なのですが、これを受けている、おねえちゃんもちょい異常者です。おねえちゃんのお尻をもむだけで毎日が幸せだった、るかですが、ある日お姉ちゃんが彼氏……いや、男の娘を連れてきたことで心は揺らぎます。さらに、クラスの委員長も「あなた、おねえさんを愛しているの? それとも、おねえさんのお尻を愛しているの?」と絡んできて、るかの心はさらに揺さぶられるのです。

 もっとも、委員長が絡んできた理由は、るかにお尻をもんでもらいたかったから。素直になれない委員長は、もまずにはいられない、るかにもんでよいかわりにキスを要求したりしますが、委員長自身ももんでもらわずにはいられないのです。しかも、まだもんで安心しているだけの、るかに対して、委員長はもまれることを想像しているだけで発情する上級者なのです。

 こうした変態集団に唯一冷静にツッコむのが、るかの友人のヒロ。彼女はJKとは思えないナイスバディの持ち主なのですが、るかには「洋物ポルノのような身体」と言われるし、萌え四コマなのに彼女だけ、つのだじろうの恐怖マンガ風の顔をしているのです。

 つまり、このマンガはお尻を軸にして、変態ばかりが登場する作品なのです。

 とりわけ、るかの変態度はレベルを振り切っています。もめば、その人の健康状態や心理状態どころか、未来の運勢まで当てることができます。しかも、別にもまなくても、服の上からでも判断できるのですから、人間ではありません。

 作中では、そんなヒロインたちがスーパー銭湯に出かけるストーリーも登場するのですが、完全に飢えた虎を野に放つようなものです。大方の予想通り、るかは無数の尻を鑑賞して「女に生まれた特権だね」と興奮しまくり。冷静にツッコミを入れている友人たちも、すでに呆れるを通して無我の境地に達しているようでシュール過ぎます。

 物語の後半には、そんなバカバカしさが、さらに加速します。お尻をいかに美しくするかを考えて開発された「ヒップクリエイト」の使い手が登場。そして、お尻をもむための修行の場である霊峰・御死里山がそれです。

 御死里山での修行は、手のひらに水流を当てる滝行とか、逆立ちで火渡りとか……これによって、服の上から軽くもむだけで、相手を絶頂させる技術まで会得することができるのです。ちなみに、そんな修行の最高峰がハリウッドにある「ヒップクリエイター学院」なんだそうです。すげえな。

 徹頭徹尾、バカバカしかないこの作品。でも、テンションを落とすことなく、ずっとバカバカしいのが、かえって清々しいです。うん、たかがお尻のことで、悩んだり笑ったりできるコイツらは幸せに違いありません。

 思わず、誰かの尻をもみたくなる魔力を持った一冊なので、電車やバスの中では読まないほうがよいでしょう。もっとも、こんな表紙の本を、人前じゃ出せませんけど。
(文=大居候)

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