大英博物館でマンガ展が開催中! 西日本でも気になる展示会が続々

1509_eikoku.jpg『大英博物館』公式ページより。

 再び日本の“マンガ”が海外で注目されている。現在、大英博物館で開催中の企画展では、意外なことに世代も作風も異なる3人の日本人マンガ家が特集されているのだ。

■日本人マンガ家3人を特集した大英博物館の「マンガなう」

 ロンドンの大英博物館で開催されている「マンガなう:三つの世代(Manga now: three generations)」は、世代も違えば作風もまったく違う日本のマンガ家3人をフィーチャーしたユニークな企画展だ。その3人とは、昭和14年(1939年)生まれの「ちば てつや」、昭和29年(1954年)生まれの「星野之宣(ほしの ゆきのぶ)」、昭和59年(1984年)生まれの「中村光(なかむら ひかる)」だ。

 ちばてつやといえばなんといっても大ヒット作のボクシング漫画の『あしたのジョー』だが、今回の展示ではゴルフ漫画『あした天気になあれ』の世界観を彷彿とさせる若いゴルファーのパット前の姿を描いた原画が展示されている。この絵は今年描かれたものだという。

 SFマンガ家の星野之宣については、今年5月25日発売の「ビッグコミック」(小学館)からスタートした新連載『レインマン』の原画が展示されている。星野之宣はかねてより大英博物館から注目されており、2011年には『宗像教授異考録』に収録の「大英博物館の大冒険」が館内で特集され、英語版『Professor Munakata’s British Adventure(宗像教授の英国の大冒険)』が大英博物館出版部から出版されている。

 最も若い中村光は「モーニング・ツー」(講談社)で連載中の宗教を題材にした異色の青春ドラマ『聖☆おにいさん』の原画などの展示で紹介されている。この『聖☆おにいさん』も2011年に館内の「日本展示室」で単行本が展示されるなど、以前から関心を呼んでいた同時代マンガのひとつだ。

 今回の展示を取り仕切る学芸員のニコル・ルマニエール氏は「日本のマンガの全体像を把握できる展示ではありませんが、今現在のマンガに何が起っているのか正確に感じ取ることができます」と語っている。

 加えて「大きなビジネスでありエンターテインメントであるだけでなく、マンガは現実の日本社会の一部分を占めているものなのです。海外、特にアメリカやヨーロッパでもマンガは極端にそうなりつつあると思います」と、同時代のマンガが“時代の気分”を如術に写し出す鏡であることを訴えている。

 9月3日からはじまった大英博物館の「マンガなう」は11月15日まで開催している(入場無料)。ロンドンを訪れる際には気軽に立ち寄ってみてはいかがだろうか。

■神戸と大分でも気になる展示会が開催

 マンガ関連の展示会といえばこの夏、「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム」展が6月下旬から8月いっぱいまで東京・六本木の国立新美術館で開催され、好評のうちに幕を閉じた。

 マンガ界の巨人・手塚治虫が逝去した1989年以降の25年間に焦点を当てて、マンガ、アニメ、ゲームというサブカルチャーの動向と、IT技術の進化や社会生活の変容、価値観の変化を照らし合わせて文化の変遷を再評価するというテーマで、“8章”に分けて豊富なコンテンツを展示。夏休み中の子どもたちばかりでなく、大人たちにとっても見応えじゅうぶんな展示会だったと評判だ。

 夏の展示が終わった同展だが、今度は9月19日(土)から11月23日(月・祝)までの期間、同名の展示会が兵庫県・神戸市の「兵庫県立美術館」で開催される。関西、西日本方面の人々にとって要チェックだ。

 東京での展示の内容は、マンガでは『七つの大罪』、『GANTZ』、『鉄子の旅』、『坂道のアポロン』などの時代を象徴する作品をピックアップ。アニメでは美少女アニメの『魔法少女まどか☆マギカ』、『美少女戦士セーラームーン』、『少女革命ウテナ』などから、『NARUTO』、『鋼の錬金術師』、『攻殻機動隊』、『機動警察パトレイバー』、『メトロポリス』などとこちらも多士済々のセレクション。ゲームもまた『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』から『メタルギアソリッド』、『ポケットモンスター』、『グランツーリスモ6』とこちらも社会に強い影響を与えたゲームを幅広く網羅した形で、もちろん神戸での開催でもこれを再現。東京で見逃していてもこの秋、神戸に行けばまだチャンスはあるということになる。

 また九州方面では、大分県立美術館で9月23日まで「『描(か)く!』マンガ展~名作を生む画技に迫る──描線・コマ・キャラ~」という展示イベントが開催されている。マンガ家の作画手法を技術面から紹介するとともに、往年のマンガ家たちとその時代背景をさまざまな観点から見つめなおす企画展だ。マンガ家を目指す人のみならず、マンガ好きにとっても興味深い内容になっている。アツかった猛暑もなんとなく終わりそうな中、“芸術の秋”はもう既にはじまっていそうだ。
(文/仲田しんじ)

【参考】
・ロイター通信
http://www.reuters.com/article/2015/09/02/us-britain-manga-idUSKCN0R21QJ20150902

・Fashion-Press
http://www.fashion-press.net/news/14213

・大分県立美術館
http://www.opam.jp/topics/detail/266

ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム from 1989

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