六本木で開催中「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム」展 “マンガ”と“アニメ”の展示に“ゲーム”を加えるとどうなる?

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 6月24日から8月31日まで、六本木の国立新美術館(以下、新美)にて「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム」展が開催中だ。本展は手塚治虫が逝去した1989年から今年2015年までの25年間に話題を集めたマンガ・アニメ・ゲーム作品を、社会的な背景にも触れつつ一挙に取り扱う贅沢な企画で、発表時から注目されていた。

“手塚治虫”がキーワードに挙げられているとなると、98年から99年にかけて東京都現代美術館と広島市現代美術館で開催された「マンガの時代展-手塚治虫からエヴァンゲリオンまで-」を思い出す人もいるかもしれない。また、本展には文化庁メディア芸術祭を運営するCG-ARTS協会も参画していることから、07年に新美の開館も兼ねて開催された「文化庁メディア芸術祭10周年記念企画展『日本の表現力』」にも思いが及ぶことだろう。

150630_mangaanime_3.jpg「マンガの時代展-手塚治虫からエヴァンゲリオンまで-」
150630_mangaanime_4.jpg文化庁メディア芸術祭10周年記念企画展『日本の表現力』

 本展では、四半世紀を「現代のヒーロー&ヒロイン」「テクノロジーが描く『リアリティー』-作品世界と視覚表現」「ネット社会が生み出したもの」「出会う、集まる-『場』としてのゲーム」「キャラクターが生きる=『世界』」「交差する『日常』と『非日常』」「現実とのリンク」「作り手の『手業』」といった8つの章立てで振り返る。

 特に第3章の「出会う、集まる-『場』としてのゲーム」はゲームのみ、第7章の「現実とのリンク」はマンガのみの展示というのが、逆にアクセントになっているように思われた。さらにゲーム作品は、来場者の試遊で場内に音が響くのがわかる『太鼓の達人』など、実機による体感型イベントとしての側面があるのも一興だ。

 もう1つの見どころとして、展覧会書籍『ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム from 1989』(国書刊行会)も忘れてはならない。こちらは市販されているので会場でなくとも入手が可能だが、展示にない作品も解説されていると同時に、展覧会では書籍に掲載されていない作品も。書籍と展示の両方で理解を深めるのが最良といえる。なお5月末発売のため、書籍には未掲載のゲーム『スプラトゥーン』書籍には未掲載のゲーム『スプラトゥーン』、さらに9月10日発売のゲーム『スーパーマリオメーカー』も出展されていた。

150630_mangaanime_2.jpg「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム」展

 加えて、来館するともらえる入場者特典も嬉しい。展示の8章を簡略的に紹介したマンガ冊子「『ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム』展のガイドブック」をもらえる。新美での会期終了後は、同展は9月19日から11月23日まで兵庫県立美術館で開催される。

 最後に、これまで行われてきた大規模な類似の展覧会の多くが“マンガ”と“アニメ”のみであった。そこに“ゲーム”を加えた意義を鑑みると、三者の紹介に際し、改めて共通のフォーマットの策定が必要なのではないか、とも感じた。“ゲーム”はハードウェアと密接な関係にあるため、“マンガ”や“アニメ”以上に、パソコンやスマートフォンといったデバイスやネットの影響がある印象を受ける。“マンガ”や“アニメ”も視聴環境で見せ方を工夫したり、見る者の印象が変わったりしている中、それらと同時代性を持たせて展示される“ゲーム”が、過渡期の現象として歴史に刻まれていくのは興味深いだろう。
(取材・文/真狩祐志)

■ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム(Manga*Anime*Games from Japan)
http://www.nact.jp/exhibition_special/2015/magj/

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