『ちい散歩』的な“枯れ具合”が感動を呼ぶマンガ『東京おさんぽがーるず』

 作者のブログに「お散歩をするマンガなので連載前、連載中も都内各地を取材してまわりました」と書いてあるので、これは作者が実際に得た感動をそのまま描いたものなのでしょう。今は亡き地井武男氏によるテレビ番組『ちい散歩』(テレビ朝日)では、時々とんでもないことがありました。散歩する道に、店も何もないのです。確か東武線の西新井駅から大師前駅に線路沿いを歩いた時がそうでした。店を紹介するでもなく、道すがらに地井氏が気づいた民家の軒先の草花の様子を紹介したりするだけの番組。でも、その“何もなさ”に「散歩っていいな」と気づいた視聴者も多かったはず。

 この作品も同じです。何かイベントが発生しなくても、歩いてるだけで楽しくなれることを読者に教えてくれます。二人には、もっと読者を散歩の楽しさへと誘ってほしいのですが、残念ながら本作は一巻完結。でも、作者自身も決して、これで終わりにしたくはない様子です。なんらかの形で続編が描かれることを期待します。だって、ただ歩いているだけの彼女たちは、スマホ片手にブログやTwitterのネタのために撮影ばっかりしていたり、食べログに書き込んで回っている人たちよりも、よっぽど心が豊かに見えるんですから。
(文/大居 候)

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