『デュラハンちゃんは首ったけ』異形な“モンスター娘”に惚れる理由を改めて実感!

 放送中のテレビアニメ『モンスター娘のいる日常』を皮切りに、“モンスター娘”なヒロインを日常的に好きになってきました。“モンスター娘”になんだか妙な“萌え”……というよりも“惚れ”を感じてしまうのはなんなんでしょう? それはきっと、種族が違っても姿形が違っても、愛はすべてを乗り越えるから。多くの人々が“萌え”ではなく、燃えるような愛や恋を求めているからではないでしょうか。

 考えてみると、村上天皇の御代に安倍保名は白狐と恋仲になって、安倍晴明が生まれました。日本では古来より異種との恋愛は伝説になるほど、貴い価値のあるものだったのですね。しかし、マンガ『デュラハンちゃんは首ったけ』のヒロイン・愛篠デュラハンちゃんは、恋愛するのにちょっとハードルが高い女の子です。

「デュラハン」というのは、元はアイルランドに伝わる首なしの妖精です。現代までさまざまな創作物で描かれていますが、基本設定としては首が身体と離れているということ。首の上に頭を乗せても身体とつながっていないので、頭はすぐに取れちゃいます。そんなデュラハンちゃんも中学生となり、青春と恋愛を夢見るお年頃(ちなみに、デュラハンちゃんは登校する際、当たり前のように首なし馬がひく馬車に乗っています。「コシュタ・バワー」というのが、この首なし馬の名前だというのは覚えなくていい豆知識です)。

 中学校に入ったデュラハンちゃんは、危ないところを助けてくれたイケメンの廓君、クールなクラス委員の伊集院君と出会います。そして、この2人との間で繰り広げられる恋愛未満の三角関係。まさに、多くの人が「りぼん」(集英社)や「なかよし」(講談社)で読んできた少女マンガの構図です!! でも、ヒロインは人間じゃなくデュラハン。この微妙なズレを特に重視するわけでもなく、平然と少女マンガ的な展開をしているところが作品の面白さを引き立てます。

 クールで嫌なヤツだと思っていた伊集院君とちょっと距離が縮まるエピソードなんて、まさにそう。階段から転げ落ちそうになったデュラハンちゃんを、伊集院君は身体を張って助けます。助けてくれるのはいいんですが、伊集院君が助けたのは身体だけ。頭のほうは、後ろを歩いていた女子が見事にキャッチしていました……。と、ここで気づいたんですが、通して読んでも、人間の中にデュラハンは一人(一匹?)だけなのに、誰もそこには突っ込んでないんですよね。深読みすると、この世界は高度に人間の道徳観が進化した世界なんでしょうか……?

 デュラハンというのは、身体は傷ついても頭が無事なら平気なようで、便利な生物にも見えます。でも、デュラハンだからこそ危険な目に遭うことも。デュラハンちゃんはイケメン2人の心を掴んじゃっているので、それに嫉妬した女子にトイレでシメられてしまいます。なんと、頭だけ持っていかれて、トイレに投げ込まれそうに! こうなるとデュラハンちゃんは、まったくの無抵抗。いえ、抵抗する術がないんです。う~ん、なんか不便な生物ですね。とにかく、作品を通じて、“モンスター娘”“異形ヒロイン”の魅力を実感しました。人間社会で暮らす彼女たちは、人間から見れば不完全な部分があるからこそ、他者の弱い部分にも共感できるのでしょう。

 これまで何人かの女性と付き合ってきましたが、次はモンスター娘と付き合いたいと、本気で思いました。
(文/大居 候)

『デュラハンちゃんは首ったけ』異形な“モンスター娘”に惚れる理由を改めて実感!のページです。おたぽるは、漫画マンガ&ラノベ作品レビューの最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!