“異形な娘”萌えの秘密がここに…? 亜人の苦悩と喜びをほんわかと描く『亜人ちゃんは語りたい』

 

 アニメ化も決まった『モンスター娘のいる日常』(徳間書店)を筆頭として、“異形な娘”に萌えちゃうのが日常になってきました。そこに新たに投入されたマンガ『亜人(デミ)ちゃんは語りたい』(講談社)。主人公の高橋鉄男は高校の生物教師という設定で、ギャルゲー的美味しい世界はもう確定です。そう、本作では心底可愛い亜人ちゃんたちが次々と登場するんです!

 メインヒロインである小鳥遊ひかりは、バンパイア。「亜人」と書いて「あじん」と読むのは可愛くないからと「デミ」と読むのだと主張する、パッと見イマドキな女子高生です。ギャルゲー世界ならすぐ恋愛展開に突入するんでしょうけど、高橋先生は大学時代から亜人を研究したいと考えていたような人物なので、あくまで教師としての立場を守りつつ、彼女と語り合うことに。なんとも、この微妙な距離感が逆に萌えます!

 なにせ、亜人たちは現代社会に絶妙に適応しています。例えば、ひかりはバンパイアですが、国が社会保障として月に一度支給するパックの血液を飲めれば十分、という具合。あとはレバーを多めに食べたりしていれば、日常で困ることは「日差しが強いと辛い」ことくらい。おまけに、まだ恋をしたことがないという、ひかりちゃん。血を吸うのは、若干性行為を連想させるとかで、想像しただけで顔が真っ赤。なんて平和な世界なのでしょう。

 それでも、亜人たちが現代社会で暮らすのは、ちょっと大変なよう。作中では、さまざまなキャラの目線から、それぞれの困ったことが描かれていきます。デュラハンである町京子などは、特に大変です。「デュラハン」というのは、アイルランドに伝わる、首から上が炎で本来の頭部を手に抱えているというヤツ。もう見た目からして大変です。そんな町ちゃんによれば「岡山の祖父母を訪ねた時に、頭だけホームで別れを惜しんでいたら新幹線が発車してしまい、胴体と東京~岡山間で離ればなれに……」なんてことが。不便な面も多いようですが、ひかりちゃんいわく「エッチの時にすごい特殊なプレイができる!」という話も飛び出します。なるほど……デュラハンの見た目に慣れれば、付き合うのにはなんの問題もないような気がしますね!!

 また、特に日常生活で苦労しているのは、サキュバスの数学教師・佐藤早紀絵先生。いつもジャージに黒縁眼鏡と、サキュバスのくせにひたすら地味な佐藤先生。その理由は、オシャレをすると無意識に人を催淫してしまうからなんですって。「催淫とは自分に対する性欲を亢進させること」とサラっと言っていますが、これ、自制しないと自分が襲われるフラグってことですよね? おまけに、睡眠時は自制がきかないので、周囲の人にエロい夢を見せてしまうという性質も。なので、人里離れた一軒家に住んで、遠くから始発終電で通勤しなければならなかったり……現代社会で暮らすには、そんな苦労がいっぱい。

 このように、本作ではほぼ差別が可視化されなくなったという状況で、亜人の苦悩と喜びとがほんわかと描かれていきます。本人にしてみれば大変なことだろうけど、それでも日常に溶け込もうとしている亜人ちゃんたちの姿に、読者はなぜか目から水が流れるはず。小さな差異を面白がりつつも、認め合う。ネットの殺伐とした日常を見ていると、なんで亜人が一種のブームになっているのか、よくわかります。
(文/大居 候)

亜人(1)

亜人(1)

すんごい違うよ。

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