あっけらかんと全裸と“リア充”を描いた女性マンガ家・岡崎京子 開催中の原画展に見る、“サブカル”で語られる前の彼女

150317_okazaki_1岡崎京子原画展・エントランス

 1月から世田谷文学館でマンガ家・岡崎京子初の大規模原画展「戦場のガールズ・ライフ」が開催され、盛況を博している。

 マンガ家・岡崎京子。読者投稿雑誌で常連となり、短大在学中の1984年に自由な雰囲気の漂う創生期の美少女コミック誌でデビュー。その後、青年コミック誌、ヤング・レディースコミック誌を中心に活躍、89年頃からはその作家性を買われてファッション誌や文芸誌にもコミックの連載を持ち、いわば引っ張りだこの状態に。また、本人の好奇心の幅広さと時代のムードを伝えるコミックエッセイも人気を集めた。代表作とも言える『リバーズ・エッジ』(「CUTiE」93年3月号~94年4月号)、『ヘルタースケルター』(「FEEL YOUNG」95年7月号~96年4月号)の連載が完結。まさに最初の頂点を迎え、ファンの誰もが次回作を楽しみに待っていた。

 彼女が突然ひき逃げ事故に遭ったのは、そんな、96年5月のことだった。彼女がリハビリ生活に入り休業を余儀なくされてから、もう19年になる。その間も、岡崎京子に関しては、たくさんの分析、評論、研究がなされてきた。そのためか近年、「岡崎京子」はサブカルのテーマのひとつみたいに思われている気がする。

 もしそう感じているなら、絶対、岡崎京子原画展「戦場のガールズ・ライフ」に行くべきだ!! みんなが岡崎京子を語ってしまうのは、岡崎京子の作品が面白くて、岡崎京子が好きだからだ!! って再確認できる。

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 改めて彼女のプロフィールを確認して驚いたのだが、筆者は岡崎さんと同じ年。上京してオタクな青春を送っていたのも、彼女が生まれ育った下北沢。でも、作品を読むかぎり、同じ時代に同じ空間にいたとはとても思えない。表面だけなぞれば、岡崎作品に描かれているのは紛れもない「リア充ライフ」、その一方で私はSFやアニメのイベントに入れ込む毎日。もしや別々の並行世界に住んでいたのでは……。そう疑ってしまうくらい、岡崎さんとは別のものを見ていた気がして、ショックだった。

 しかし、この原画展を回るうちに、いや、岡崎さんと私はやっぱり同じ時代を生きていたんだ、と強く実感した。80年から90年の中途半端で退屈なあの時代の青春。オタク界隈も中途半端で退屈な側面があった。若い人たちはなんとか面白いものを見つけようとあがき、ニューウェーブとかサブカルが自然発生して、それが載っていたのがミニコミ誌や雑誌で、雑誌文化が最後に最高に熱かった、みたいな時代。懐かしいような痛いような、いや、やっぱりすごかった時代。岡崎京子が好きだったことと同時によみがえる記憶。この展覧会では、そんな心と記憶が激しく揺さぶられる体験が待っていた。

 当時は岡崎京子と共に原律子、桜沢エリカなど、あまりにもフツーに全裸を描く若い女性マンガ家が話題になっていた。最初に騒いだのはおじさんたちかもしれない。でもエッチに過激ではなく、「おっぱいとか見える時もありますけど、何か?」というあっけらかんとした描写は、実は女性にすーっと受け入れられたように思う。私が特に気に入ってたのは岡崎さんの描くふんわりした陰毛と、リア充っぽいキャラがたまらずに「うわあああん」って泣くところ。いや、理由や分析はどうでもいい。こんなに趣味が違うのに、続々と彼女が描くものを愛さざるをえなかった。

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