姫乃たまの耳の痛い話 第12回

「破れたパンスト3万円」……整形手術のために衣装を売り続けるアイドルの懺悔

――地下アイドルの“深海”で隙間産業を営む姫乃たまが、ちょっと“耳の痛〜い”業界事情をレポートします。

140921_himeno.jpg無限ループにハマってしまったアイドルのお話です。

 売れない地下アイドルの姫乃たまです。どこの事務所ももらってくれないので、フリーランスで活動しています。そのため、仕事用にメールアドレスを公開しているのですが、プライベートのアドレスと勘違いして私的なメールを送ってくる人がたくさんいます

 特に5年間活動してわかってきたのですが、季節の変わり目は「衣装を売ってくれ」という内容のメールが多く届きます。衣替えの手伝いなのかもしれません。ちなみにこういう類のメールを送ってくる人は、だいたい面識のない人です。

 しかし、差出人に悪気はないのです(多分)。現に、ごく一部ですが事務所に無理やり衣装を売らされるアイドルも存在します。ひどい時にはライブ後すぐに着替えさせられて、その場でオークションを始めるなんてこともありました。あの時、楽屋で着替えさせられていたアイドルさんの悔しそうな横顔は、今でも忘れられません。

 アイドルさんも舞台では笑顔を絶やさないので、衣装は売ってもらえるものだと勘違いしてしまうのも頷けます。そのため、私もそういったメールには、やんわりお断りするのですが、先日、「破れて履けなくなったパンストでいいので、3万円で売ってくれませんか」というメールが届きました。

 いやいや、こっちも売れてないとはいえイメージってもんがあるんですよ。いやあ、でも数百円で買ったパンスト(しかももう履けない)が3万円かあ……。誰にもバレなきゃいいかなあ……などと、心を揺さぶられつつメールを読みすすめていると、一瞬にして目が覚めました。

 とあるアイドルの個人名を出して、「この子にも同じ額で売ってもらってるのですが、ダメですか」と書いてあったのです。えー、なにこの最新版アイドルブルセラ状況(そんなものはない)。全然、知りたくなかったよ。というか、次に会う時に気まずいじゃないですか。

 悩んだ結果、最近ご無沙汰していたのもあって、すっごく失礼を覚悟で電話してみました。世間話をしつつ、恐る恐る本題に触れると、しばしの沈黙の後、「話してもいい?」という声が聞こえました。

「ダメなことしてるなって、自覚はあるの。連載に私のこと書いてくれないかな。それで許される気がするから」

 私は予想していたよりに彼女が思いつめていたことと、この連載がいつの間にかアイドルの禊場になっていることに驚きました。

 結論から書くと、彼女はファンに衣装を売って、整形手術の費用にしていたのです。

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