「コミックとは会社全体で作っていくもの」アメコミの巨匠ジム・リーが作家・編集者としての半生を語る

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 続いて影響を受けたアメコミ作家、『X-MEN #1』の大ヒット、自身の会社の運営法についての話に。

ジム・リー「影響を受けたのは、ジャック・アビーのパワフルさやニール・アダムスの生き方、ジョン・バーンの確立された感じなど。絵を描く際の変な経験としては、描くにあたって参考資料が欲しかったので、おもちゃ屋に行って銃を買い、それを持って自分で写真を撮り、コピーして、さらに拡大コピーを繰り返したものをトレースするといった作業。今ならネットで検索して20秒でできる仕事だけど、5日間かかった。

 実際にプロとしてやっていけると確信したのは『X-MEN #1』が発売された1991年、この頃だった。『X-MEN』は常に憧れだったので、これを描いているのは夢みたいな出来事だと思った。始めた当時、メディアで自分の評価がなされても読者に会える時代ではなかったので、販売部数が自分の人気を計るものさしになっていた。そのためにたくさん売るというのは大事だったが、現在はコミコン【編注:コミックコンベンションの略。有志が集まって行う大会(イベント)。日本でのコミケのようなもの】など、ファンが集まる場に行ったりと、人の反応が直でわかるようになった。

 自分の生活も業界も、この頃大きく変わったように思う。『X-MEN』は最初が20万部で、自分の手がけた『X-MEN #1』が800万部と飛躍を遂げた。当時緊張した出来事としては、売る前にオーダーがあるが、描き上げていないのにロイヤリティーが入ること。オーダーの見込み部数でロイヤリティーが決定する。800万部の時も描き上げてないのにお金をもらってしまったため、車の運転中も怖かった。この時は景気も良かったので、色んな人も転機になったのではないか。

 会社の運営では、誰にインクを、カラーを任せるかというのを気に留めつつ、新聞社にマーケットを仕掛ける人、ポスターや表紙のレイアウトを手がける人といったクオリティーコントロールに対して、全部は無理かもしれないけど、できるだけ配慮していきたい。コミックというのは、ただ紙の上に絵を描くだけでなく、会社の人全体で作っていくものだからである」

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 この後はライブドローイングに移った。脱線や試行錯誤がありながらも、最終的に形になっていく『バットマン』を、来場者は熱心に見入っていた。

 なお今回の会場となった明治大学中野キャンパスは昨年竣工したばかりで、大学院国際日本学研究科もこちらに移っている。東京国際マンガ図書館(仮称)は駿河台キャンパス周辺での開設を予定しているが、中野キャンパス周辺のほうが何かと都合が良さそうではある。
(取材・文/真狩祐志)

■特別講義「ジム・リーの奇跡」開催のお知らせ
http://www.meiji.ac.jp/ggjs/info/event2014_2.html
■海外マンガフェスタ
http://kaigaimangafesta.com/

ICONS:DCコミックス

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ひたすらに格好いい!

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