「第15回広島国際アニメーションフェスティバル」【Part4】

「動かないけどアニメーションになる」とは? 山村浩二、第15回広島国際アニメーションフェスティバルのQ&Aで語る

1409_yamamura2.jpg「Q&A」企画を行う山村浩二氏。

 広島国際アニメーションフェスティバルの会場・アステールプラザでは、メインとなる大・中・小ホールのほかに1階のエデュケーショナルマーケット、5階のネクサスポイント、7階のフレームインでも上映やトークショーが行われる。メインの3ホール以外は突発的に行われるものが多く、ネクサスポイントとフレームインに関しては来場者や制作スタジオでも枠を押さえることができて飛び込みの上映イベントもあったりすることから、関心を集めている。

 会期3日目の8月23日にフレームインにて実施された中には、「Q&A 山村浩二」も含まれていた。アニメーション作家の山村浩二さんについては、翌日24日に大ホールにて「山村浩二特集」と題した上映もあり、これは今回、同氏がコンペティションにノミネートされた作品から各賞を決定する国際審査委員の1人を務めていることから組まれた特集である。

 山村さんは第1回(1985年)に観客としての参加から、第2回(87年)に『水棲』でノミネートして以降、広島とは縁が深いアニメーション作家人生を送ってきた。特に第10回(2004年)は『頭山』、第12回(08年)は『カフカ 田舎医者』で2度グランプリ受賞を経験している。一方、第9回(02年)では、コンペティションに応募された作品をノミネートする国際選考委員も務めていた。

 フレームインにてQ&Aに入る前に山村さんは「コンペティションの審査に関する質問以外で」と念を押し、今回初めて会った海外の作家に聞かれたことから話を始めた。聞かれたのは、「どういうことを考えて作ってるのか」という質問。これは難しい問いになるとしながらも、「世の中にある事象ではなく、無意識の中にある何かを表現したい」というのが自身の答えになるという。「見えないものを可視化する」べく「思想的なものとは違うけど、もっと根源的なものをアニメーションで表現できるんじゃないか」といった探究心であるようだ。

 そして「時間表現でない場合は、あまりストーリーは重要でないのがわかった」とも言う。これは「フレームバイフレームの素振りをしてるだけで、時間とは切り離された世界ではないかと思うようになった」ためだが、同時に「音を入れると時間が流れ込んでくる」ことから「現実にいる時間に属することに」なるという葛藤にも触れた。

 この件はQ&Aに入って、第14回(12年)で優秀賞を受賞した『マイブリッジの糸』についての質問があった際にも言及した。『カフカ 田舎医者』では「いかに心理的な世界を視覚化するか」という課題から「メタモルフォーゼやディストーションなど、伸びたり縮んだりといった表現」に行き着いたとのことだった。さらに『マイブリッジの糸』では、その先の「限られた人生の時間を飛び越えたところで時間を獲得したい」という挑戦で「時間の経過を感じるところからいかに脱却するか」も課題としていた。

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