「第15回広島国際アニメーションフェスティバル」【Part4】

「動かないけどアニメーションになる」とは? 山村浩二、第15回広島国際アニメーションフェスティバルのQ&Aで語る

1409_yamamura1.jpg山村浩二氏の代表作『頭山』。
©Yamamura Animation

 この時間の経過に関して「アニメーションは動かなくてもいいんじゃないの、とも思っている」と話した。補足として「動かないけどアニメーションになるのかって、紙芝居とは違う抽象的な概念なんだけど、違うところで映像に利する動きがあると思っている」と、逆説的な視点での制作へ移行していることを明らかにした。芸術の概念として分類される中でも、映像・マンガ・小説・音楽などは時間芸術に属するものとされているだけに、興味深い取り組みと言えるだろう。

 このほか、デジタル化についても回答。制作でMacintoshを導入したのは1994年で、翌年NHKの『おかあさんといっしょ』内で放送されたショートシリーズ『パクシ』のためだったそう。ただしデジタル上映の方式では制作していない。「デジタル上映だと色の問題や明るさの問題」から、「大手のプロダクションを含めて頭を抱えている」状況に晒されているという。

 作品を知ってもらうことについても、「映画祭は多いので機会は増えている。作り手の側はグローバルな視点で考えているんじゃないか」としながら、「まだまだこの世界の日本の土壌がしっかりしていない。まだ珍しい作品があるという感覚ではないか」と、改めて視聴者と制作者、日本と海外の短編アニメーションに対する温度差について語られた。「どういう視点かは作家それぞれだけど、日本の短編シーンのスタンダードを確立していかないといけない」という意見からも、日本の“Anime”ではなく海外の“Animation”に共感する作家に対する理解の浸透度は相変わらずだ。

 気になる次回作も「今いくつか構想はある」と、絵本の制作依頼の合間に「シナリオを書いたり、企画書を書いたり」としているので期待が高まる。間接的に東日本大震災の影響もあるようで「具体的に描こうという気持ちはないけど、なかなか簡単に表現としてむすびつかないがなんらかの形で作品に入り込んでくるのではないか」とのこと。こちらは最新作の発表まで楽しみにしておきたい。
(取材・文/真狩祐志)

■広島国際アニメーションフェスティバル
http://hiroanim.org/

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