『思い出のマーニー』は百合映画か? 百合度は『アナ雪』超え!?

 
 また、マーニーの漕ぐボートでピクニックに出かけたふたり。杏奈にもボートの操縦を教えるため、マーニーが杏奈の手を取って一緒にボートを漕ぐ。背後から抱きしめるように手を取って一緒に漕ぐ! まるで彼氏ではないか。ぐいぐい来るマーニーに杏奈のほうも戸惑いを見せつつも、完全にときめいているように見えるのは筆者だけではないだろう。

 マーニーがリードしているかに見えるふたりの関係だが、しだいに逆転してゆく。お屋敷でダンスパーティーの場面。居心地悪そうにひとり隅っこに佇む杏奈に対し、マーニーは同年代の少年と一緒に踊り出す。それを見て不機嫌になった杏奈は、マーニーに「あの人誰?」と嫉妬めいたことまで口にする。
 
 いつの間にか、杏奈はマーニーに対して独占欲を抱くほど夢中になっているようだ。ほかの人と仲良くしているのを見て嫉妬するというのも、百合ものの醍醐味である。

 そして、ある日、悩みを打ち明ける杏奈を抱きしめながら、マーニーは言う。「泣いてもいいよ、杏奈……あたしはあなたを愛しているわ。今までに会ったどの女の子よりもあなたが好き。」

 対して、杏奈が返した言葉は「私もマーニーのことが一番好きだよ。今まで会った誰よりも……。」

 ん? ふたりの想いに微妙に温度差があるような……。ふたりの関係はどうなってゆくのか―—は映画館で観ていただくとして。

『思い出のマーニー』は百合映画なのか否か。少なくとも“百合厨”が楽しめる要素が満載なのはまちがいない。

 ジブリ側は、おそらく確信犯的に、こうした“百合要素”を取り入れたと思われる。公開直前に鈴木敏夫プロデューサーが明かした、キャッチコピーのボツ案「ふたりだけの禁じられた遊び」「ふたりだけのいけないこと」は完全にそっち狙い。これらのボツ案をわざわざ直前に公開したのも、CMや予告編を見て「百合なのか!?」と盛り上がるファンを、さらに煽る意図もあっただろう。

 また、作家の三浦しをんがパンフレットに寄せた原稿のなかで、こんな指摘をしている。

〈(原作では)マーニーとアンナの関係を「友だち」とはっきり規定しているのはまちがいない。/対して映画版では、杏奈のマーニーに対する思いは、「友だち」という言葉ではくくりきれないものがある。〉(『思い出のマーニー』パンフレットより)

 そして先述の、マーニーが杏奈に言った「今まで会ったどの(・・)女(・)の(・)子(・)より(・・)も(・)あなたが好き」というセリフに対する、杏奈の「私もマーニーのことが一番好きだよ。今まで会った誰(・)より(・・)も(・)」と返すセリフについて。

〈(映画版では)杏奈はマーニーに、「私もマーニーのことが一番好きだよ。今まで会った誰(・)より(・・)も(・)」と言うのだ。ここは原作では、アンナもマーニーに、「今までに知ってる、どの女の子よりも、あなたが好きよ」と言うに留まっている。〉(『思い出のマーニー』パンフレットより)

 原作にはなかった“百合要素”を映画版ではわざわざプラスしているのだ。

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