姫乃たまの耳の痛い話 第7回

推しがAV女優になろうとも……テレビでアイドルとして歌う日を一緒に夢見続けたファンの切なる想い

――地下アイドルの“深海”で隙間産業を営む姫乃たまが、ちょっと“耳の痛~い”業界事情をレポートします。

推しがAV女優になろうとも……テレビでアイドルとして歌う日を一緒に夢見続けたファンの切なる想いの画像1

 連載第7回目となる今回は、「地下アイドルシーンはファンがいないと成り立たない!」という思いから、ファンの方にインタビューを決行しました。彼の熱い想いを、ご紹介しましょう。

* * *

 高層ビルの上のほうで、命綱もろくに付けず泣いていた。また推しが引退した。

 世間ではオタクっていうと、いまだに、引きこもってネットばかりやってる奴や、仲間内でネチネチとアニメや映画の批評をしあってる奴らのことを言うのだろうか。俺に引きこもっている時間はない。推しのライブには全部行ってやりたいからだ。

 CDが出れば布教用に何百枚でもCDを買うし、握手会のために何枚でもDVDを買う。今までもそうしてきた。ただ、俺の推しのCDやDVDはまだ出ていない。健気に流行りのアニソンを地下のライブハウスで歌っている。早くオリジナル曲を作ってやればいいのに、あんなしょぼくれた事務所もどきみたいな弱小事務所に入っているせいだ。俺がお金を払って作ってやりたい。音楽のことはよく分からないけど。そして推しは、今日、引退したけど……。
 
 アイドルファンを始めてから、深夜にビルの大看板の広告を貼り替える仕事をしている。この時間ならアイドルライブとは滅多にかぶらないし、給料も高いからだ。AKB48や有名アイドルたちの広告を張り替える時は、いつも、いつか推しの広告を貼る日のことを夢見ている。

 でも俺の推しはいつも辞める。これで何人目だろう。俺がダメな感じの子を好きになるせいかもしれない。いつかも10代のアイドルを応援してたけど、いまも10代のアイドルを応援している。俺だけが、もう40代になっていた。

 ほとんどの子は出演予定だったライブを突然すべてキャンセルして辞めていったけど、最後にきちんとファンに挨拶するような子たちは、みんな結婚や就職で幸せな女性になっていった。

 いつかは、推しがAV女優になったこともあった。アイドル時代は冴えなかったけど、AV女優としてはものすごく売れた(それもすぐ辞めたけど)。そりゃあ、俺の推しは可愛いし、頑張りやだもの。デビュー作も買ったし、発売イベントにも行った。男優とのセックスを見ても特に嫉妬しなかった。別に彼女と付き合ったり、何かしたかったわけじゃないから。

 ただひとつだけ思うことがあるとすれば、彼女たちはみんなテレビでアイドルとして歌いたかったはず。少なくともライブハウスの小さなステージではそう言っていた。俺もその時を彼女たちと一緒に夢見ていたんだ。あれは嘘じゃないよな? 俺だけじゃなかったよな?

* * *

 この原稿をチェックのために送ったら、彼から「俺、こんな格好いい感じじゃないっすよ」という返信が届きました。どこが格好いいのかはわかりませんが……早く新しい推しでも見つけて、元気出してライブに来てください。待ってますね。

●姫乃たま
1993年2月12日、下北沢生まれ。日本の地下アイドル。都内でのライブ活動を中心にライター、司会、DJとして活動しているミス器用貧乏。売れる兆しなし。
[地下アイドル姫乃たまの恥ずかしいブログ]http://himeeeno.hatenablog.com/
[姫乃たまのあしたまにゃーな]http://ameblo.jp/love-himeno/
[twitter]https://twitter.com/Himeeeno

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