誰も語らないパチンコの中のアニメ 第5回

もはや公式二次創作!? 『CRルパン三世』がつかんだ、“パチンコで物語を描く”可能性

 この「総合的なレベルの高さ」という言葉は不毛で空虚だ。何かをいっているようで何も言っていない。「なぜかっこいいのか」という問いに「どこから見てもかっこいいからだ」と答えているようなものだ。そんなのは答えではない。

 だけど、『消されたルパン』がこの空虚なフレーズにたどり着いたことには、意味があると思う。

 『ルパン』シリーズの歴史的意義は、パチンコにドラマを与えたことだ。その内容は、すでに『ルパン三世』の公式二次創作といってもいい。そんな『ルパン三世』シリーズのひとつの頂点は、スペック的革新でも、演出的革命でもなく、ただ総合力の高さで生まれたのだ。

 それは、物語評価そのものだ。目新しいギミックでも、斬新な設定でもなく、ひとつひとつの要素を丁寧に積み上げたところに宿るのが、物語の魅力だ。

 00年代のパチンコ業界において、ドラマ性への特化はヒットの切り札ではなかった。それはたぶん間違いない。でも、『消されたルパン』を見て、「もしかしたら」と思う。『消されたルパン』が本当に物語的な力、映画的な魅力で人々に受け入れられたのだとしたら、パチンコは物語の語り手になれるかもしれない。本機のヒットが、パチンコと物語の関係を新しくしてくれるかもしれない。

 04年以降ずっと続けられてきた『CRルパン三世』シリーズの挑戦は、ようやく今結実した。その結実は、もしかしたらパチンコとアニメをもう一度変えてくれるかもしれないと、今心のなかでこっそりと期待している。
(文/小林聖)

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死んだり消えたり、ルパンも大変。

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