誰も語らないパチンコの中のアニメ 第4回

原作の再現を試みた『CRめぞん一刻』…ドラマ性を追求したパチンコがヒットを生めない理由とは?

――アニメの製作費がパチンコの売上で成り立つなど、今やパチンコとアニメ・マンガといったコンテンツの関係は、切っても切り離せないものとなっている。しかしこれまで、パチンコ台で流れるアニメについて語られることは、ほとんどなかった。この連載では、そんな〈誰も語らないパチンコの中の“アニメ”〉<映像コンテンツとしてのパチンコ>について考える。

【第3回】
ケンシロウの遠足を眺めるだけ!? 『北斗の拳』シリーズが見せたパチンコの“進化の可能性”と“限界”

 マンガ・アニメとのタイアップは今やパチンコにおける王道のひとつだが、“パチンコというメディアと物語は原則的に相性が悪い”というのが本連載で繰り返し書いてきたことだ。結果的に、2000年代のアニメタイアップを代表する2つのヒット台、『エヴァ』シリーズ(参照)と『北斗の拳』シリーズ(参照)は、パチンコの中で本編を再現を試みるPV的であること、ifストーリーを紡いでいくゲーム的であることを志向する台となった。

 では、パチンコは物語を表現することを放棄してきたのだろうか? たぶん答えはNoだ。むしろ、物語の再現、ドラマティックさの追求は、パチンコにとってひとつのテーマだったと思う。

 わかりやすいところでいえば、『CRめぞん一刻』シリーズがある。06年にパチスロ機としてリリースされ、シリーズ化した後、パチンコ機にもなった本作は、パチスロ・パチンコともに「ドラマチック」というフレーズをキャッチコピーにしてきた。大ヒット台になったとはいいがたいし、パチンコ台として優秀だったかといわれたら微妙なところだが、イチ原作ファンとしてはかなり満足できる仕上がりだった。

 物語性への傾倒という点では、11年に登場した『CRヤッターマン 天才ドロンボー只今参上!』も見逃せない。描き下ろしアニメーションを搭載する台は最近では珍しくないが、本機はアニメまるまる1本分をパチンコのために制作。演出内でオリジナルの新作エピソードが見られる仕様になっていた。

 こうした機種が物語性の取り込みのために採った手法は、確率変動のドラマ化だった。当連載第1回(参照)で言及した通り、パチンコは“くじ引きの繰り返し”というゲームの原理上、過去の回転(物語)と次の回転(物語)に因果関係が築けない。ほぼ唯一の例外になるのが、この確率変動時だ。

 確率変動(確変)は現在のパチンコの大きな特徴で、その名のとおり、確率変動大当たりを引くと、大当たり確率が大幅に上がる。現在の機種では様々なシステムが生み出されているが、最もオーソドックスなのは「確変大当たりを引くと、次の大当たりを引くまで確変が継続する」というもの。要するに、確率変動大当たりを引くと次の大当たりがすぐに来るのだ。そして、次の大当たりでも確率変動を引けば、確変が続く。これがいわゆるパチンコの「連チャン」であり、理論上は確変を引き続ければ永遠に連チャンし、出玉が増えていくことになる。

 原則として演出に連続性がないパチンコにおいて、この確変による連チャンだけはまさに「連続性」を伴っている。言い換えれば、“時間軸が発生する”のだ。

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