Kindleでも読める30年前の名作プレイバック 第11回

『ドラゴンボール』は最後のほうはネタ切れ感半端ない!と思っていたが、読み返すと最後まで面白かった件

 今回は、「フュージョン」と「ポタラ」という、人同士が合体してパワーアップするという新しい技が出てきた。具体的に言えば、トランクスと悟天、悟空とベジータが合体する。

 また、超サイヤ人3という、眉毛がなくなり、髪の毛が伸びるという、よくわからないパワーアップを悟空が開発する。同時に、悟飯も界王神によって通常状態で強烈にパワーアップさせてもらう(ただし、あまり活躍できなかったけど……)。
 
 敵であるブウも分裂したり、キャラクターを吸収したりと忙しい。ただ……

「もうネタがないのに、無理矢理続けさせられてるって感じだよね……」

という感想を持っていた人は多いと思う。少なくとも僕の周りでは、この頃の『ドラゴンボール』に対しては、マンネリ感が漂っていた。

 しかし、今回改めてブウ編を読み直してみると、とっても楽しかった。小学校から読み続けていただけに、当時は、自分の納得の行かないストーリーや、ワンパターンの展開が許せなかっただけなのである。

 あの頃僕らは、『ドラゴンボール』が終われば、その後に始まるであろう新連載に期待していた。ただ、鳥山明はもう長期連載は描かないのではないか? と怯えてもいた。だから『ドラゴンボール』に飽きてはいたけれど、終わってほしくはない……というジレンマもあったと思う。

 そして、魔人ブウは悟空によって倒された。主人公は最後まで、やっぱり孫悟空だった。

 どんな願いも叶えてくれるというドラゴンボールへの最後の願いは、悟空の体力を回復させるという、仙豆でいいじゃん……というものだった。

 ドラゴンボールは10年後の世界を少しだけ見せたが、そのまま最終回を迎えてしまった。

 最近では、人気ドラマや人気バラエティが終わった時に、「◯◯ロス」という言い方をするが、まさしく「ドラゴンボールロス」だった。大方の予想通り、鳥山明は『ドラゴンボール』終了以後、長期連載を描くことはなかった。

『ドラゴンボール』の最終巻が出たのが、1995年。今から約20年も前になる。ちょうどその頃、僕は大学を卒業してフリーランスのイラストレーターになった。そして、東京で働いているうちに、いつの間にか40歳を超えていた。

 最近の若いクリエイターに話を聞くと、

「ドラゴンボールは名前だけ聞いたことありますけど、読んだことないです」

なんて話を耳にすることも増えた。とても寂しいけれど、20年も経ってしまったなら、しかたがないのかもしれない。

 でも、今でも『ドラゴンボール』は、絵もコマ割りもセンスも、図抜けて高い漫画なので、若い世代にもぜひ読んでもらいたい。

『ドラゴンボール』の最終回のタイトルは、「バイバイドラゴンワールド」。最近『銀河パトロール ジャコ』にて、この「ドラゴンワールド」が復活した。以前にも『ネコマジン』(こちらもカラー版あり)で、悟空、ベジータ、ブウがゲスト出演したことがあったが、こちらはギャグの要素が強かった。『銀河パトロール ジャコ』はドラゴンボールと世界観を共にしているし、オマケ漫画では、孫悟空の両親を見ることができた。

 少年時代ずっとドラゴンボールに明け暮れていた僕は、『銀河パトロールジャコ』を手に取った時、なんだか懐かしくて胸が一杯になってしまった。

●村田らむ(むらた・らむ)
1972年、愛知県生まれ。ルポライター、イラストレーター。ホームレス、新興宗教、犯罪などをテーマに、潜入取材や体験取材によるルポルタージュを数多く発表する。近著に、『裏仕事師 儲けのからくり』(12年、三才ブックス)『ホームレス大博覧会』(13年、鹿砦社)など。近著に、マンガ家の北上諭志との共著『デビルズ・ダンディ・ドッグス』(太田出版)、『ゴミ屋敷奮闘記』(鹿砦社)。
●公式ブログ<http://ameblo.jp/rumrumrumrum/

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