「一極集中」「二次創作」が目立った2013年のマンガ誌 識者らのトークを通じて探る2014年の行方

 山内は少年マンガ誌「最強ジャンプ」を例に、人気作品からのスピンオフマンガが増えていることも取り上げる。同誌には「週刊少年ジャンプ」で連載している『NARUTO』(すべて集英社)のキャラ、ロック・リーが主人公のマンガなど、スピンオフ作品が多いことを指摘。「同人誌的なことを得意とする人は浮かばれるかもしれないですね」と、ひとつの活躍の場が生まれていることをうかがわせた。

「一極集中」「二次創作」といったキーワードが出た2013年のマンガ誌。これからどのようなマンガ誌が読者に好まれるだろう。米光がトピック「雑誌がおもしろい」で語った、「“個人の顔”が見える雑誌」についての話が興味深い。

 米光がまずあげたのは科学雑誌「科学」(岩波書店)。同誌が震災以降、およそ2年にわたってずっと震災や原子力のことを天文学の切り口でどう伝えられるかに取り組んでいると紹介。「編集長か誰かの方針転換とかだと思うけど、雑誌で“個人の顔”がまた見え始めている」と語る。

 同様の雑誌として、武田は別のトピックスでサッカー誌「ZONE」(ベースボール・マガジン社)を取り上げた。元サッカー日本代表の宮本恒靖が特別編集長を務め、雑誌作りに大きく携わっている雑誌だ。

 一般的なスポーツ誌は、シーズンごとの振り返りや注目選手の特集などが中心だ。対して宮本が手がける「ZONE」は、サッカーという競技がどうなり立って、どうマネジメントが行われているかを、選手を紹介しながら投げ込んでくる斬新な内容だという。ジャンルを縦に切ることで、競技ファン以外にもサッカーの魅力が広く届く――競技全体を豊かにするヒントがある雑誌だと、武田はコメントした。

 米光はこうした雑誌について、編集者や作る過程そのものがコンテンツと一体化しているのが興味深いと指摘する。雑誌「ケトル」(太田出版)の卵特集(13年10月号)や調味料特集(12年6月号)を例に挙げ、「『そこを特集するんだ!』みたいな雑誌がたくさん出て定着したり読者もついてきたりしている状況っておもしろい」とのこと。

 前述の「もっと!」のジブリ特集も、誌面の向こうに作り手がいることがわかる色濃い企画だろう。マンガ誌でジブリを展開する意外性で読者を楽しませ、マンガに興味がないジブリファンの注目も集める作りだ。このように編集者が編んだことが誌面から伝わるつくり手の見える雑誌が、今後もマンガ誌・一般誌を問わずもっと増えていくかが気になるところだ。
(取材・文/黒木貴啓)

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