『はだしのゲン』閉架騒動に『進撃の巨人』大ヒット……2013年のマンガニュースを振り返る

1312_manga10.jpg2013年閉架騒動が巻き起こったはだしのゲン(中央公論社/中沢啓治)。

――いいことも悪いことも含め、さまざまなニュースがあった今年のマンガ界。そんな2013年の十大ニュースで振り返ってみよう。

■TPPと著作権非親告罪化問題、同人マーク誕生
 2012年後半から議論を呼んでいた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)。マンガ界では特に、著作権の非親告罪化が国内にも入ってくるかというのがひとつの焦点になった。

 この問題に関しては、ロビー活動などを含め、マンガ家・赤松健が精力的な動きを見せ、議論を牽引。8月には、作家が自作品の二次創作を一定条件下で許容する意思表示のためのマーク「同人マーク」がつくられ、赤松の新作『UQ HOLDER!』から早速作品に付けられている。

 年末に入り、いよいよ現実味を帯びてきたと報じられるようになった非親告罪化。同人マークに象徴されるように、将来的に2013年は著作権とパロディ、同人にとってターニングポイントであった年になるかもしれない。

■『テルマエ・ロマエ』めぐり出版・エンタメ界の慣習に議論
 2月に放送されたテレビ番組で、マンガ家・ヤマザキマリが映画『テルマエ・ロマエ』での原作使用料が100万円だったことを明かし、大きな話題を呼んだ。

 興業収入58億円の大ヒット映画にもかかわらず、原作使用料がこの程度なのは適正なのか、といったところが耳目を集めたが、むしろ焦点だったのは、出版社が著者への事前連絡なしに映画化やその権利料を決めてしまえる契約内容。ヤマザキはその後マンガ家・とり・みきとの対談連載の中で、海外と日本の商習慣、構造、作家をとりまく環境の違いについて掘り下げている。

 信頼関係とある種の暗黙の了解の上で駆動してきた日本マンガの産業構造については功罪両面がある。しかし、少なくとも老朽化し、うまく機能しなくなっている部分も出始めており、改めて手を入れ直す必要性を意識させられる1年だったといえるだろう。

■秋田書店、懸賞水増し問題が波紋
 旧習の破綻という意味では、8月に発覚した秋田書店の懸賞水増し問題も今年の大きなトピックスだった。「ミステリーボニータ」「プリンセス」「プリンセスGOLD」の3誌の読者プレゼントで、誌面に掲載した当選数を下回る数しかプレゼントが発送されていなかったり、実際にはまったく発送されず、当選者ゼロの状態になっているなど、水増しがあったことが発覚。消費者庁から再発防止などを求める措置命令が出された。

 この問題は、告発した従業員との不当解雇問題という、思わぬ方向へも波及していき、秋田書店にとっては受難と試練の年だったといえるだろう。

 だが、一方で散見されたのが「どこでもやっている」「昔からよくある話」といった声。実際にどの程度あったのか、常態化していたかはわからないが、その後、一迅社も2年前の読者プレゼントが未発送だったことを発表して謝罪するなど、他社にも波及していったのは事実だ。

 もちろんあってはならない問題ではあるが、出版産業が牧歌的で怪しげだった時期が終わり、ひとつの悪習が改めて見直されるきっかけだったという印象がある。

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