『はだしのゲン』閉架騒動に『進撃の巨人』大ヒット……2013年のマンガニュースを振り返る

■さようなら、小学館ビル
 神保町の小学館ビルが立て替えのため解体工事に入ろうとしていた8月、有志マンガ家が集まってビルに落書きをする「ありがとう!小学館ビル ラクガキ大会」が行われた。

 もともとは編集の思いつきで始まったこの企画だが、藤子不二雄(A)を始め、そうそうたる面々が集まったことで、ツイッターを中心に大きな話題に。最終的には108名の作家が参加し、急遽一般公開も決定。8000人ものファンが詰めかけ、日本のマンガ文化を支えた小学館ビルに別れを告げた。

 ちなみに、緊急決定した一般公開の2日間以外は、建物内部への一般の入場は不可だったが、多数の落書きの描かれた1Fはガラス張りのため、外からのぞくことができた。これを計算して窓のすぐ近くにある壁際の柱にイラストを描いたり、窓の外から読めるように裏文字を使ってイラストを描いたマンガ家・ピョコタンは、メディア露出でもかなり存在感を放ち、Yahoo!知恵袋に「なぜ小学館の壁の落書きにピョコタンのマンガが描いてあるんですか?」という質問まで寄せられた。実は「月刊コロコロコミック」に作品を描き、現在も「コロコロコミック」増刊の「コロコロイチバン!」で活躍中という経緯を、ピョコタン本人が回答するというサービスぶりまで発揮していた。

 戦後マンガが成長していく“現場”のひとつだった小学館ビルだが、お別れでもさまざまな形でマンガ界に貢献したといえるだろう。

■株式会社KADOKAWA誕生
 10月1日、角川書店をはじめとしたグループ9社が大合併を行い、株式会社KADOKAWAが誕生した。日本の出版史上でも例のない大規模合併で、超大型出版社が誕生したことになる。

 合併後も、アスキー・メディアワークス、エンターブレインなど、旧企業のレーベルは存続される形で、書店店頭などではまだ大きな変化は出ていない。一方、新会社誕生を記念して、KADOKAWAの全作品を対象とした「オールカドカワフェア」など、大規模なフェアを実施。紙の本の場合は、KADOKAWA作品に付けられた応募シールを集めて応募するものだったのだが、既刊も対象となったため、書店は別途KADOKAWA作品にシールを貼ったり、購入者に渡したりといった対応でやや混乱もあった模様。

 また、電子書籍ではほぼ全作品を対象に、期間限定で半額セールを行い、電子書籍大規模セールの嚆矢となった。来年以降はさらに、合併の影響や効果が形になって出てくるのではないだろうか。

■『黒子のバスケ』脅迫事件、犯人逮捕
 2012年から1年以上にわたって続いていた『黒子のバスケ』作者に対する脅迫事件。その犯人とされる人物が、12月、ついに逮捕された。

 人気作家になると、ストーキングや脅迫まがいの行為を行ってくる困った読者が出てくるというのは、従来も認知されていた。だが、『黒バス』騒動ではファンイベントに対して脅迫状が送られるなど、作家本人にアプローチするのではなく、ファンや一般人を“人質に取る”形で犯行が行われたのが大きな特徴だ。

 犯人逮捕に至り、一応の解決が見えてきたものの、抜本的対策がしづらいこの事件は、マンガ産業全体に不安の陰を落とした。再発抑止などを含め、事件はまだ終わってはいないだろう。

■木多康昭、働く
 鳥山明が13年ぶりに週刊少年ジャンプで短期集中連載を行うなど、本来取り上げるべき話題はほかにあるのだが、木多康昭『喧嘩商売』の再開は、ある意味ファンにとってそれ以上のサプライズだっただろう。

 2010年に第1部完結という形で休止に入っていた『喧嘩商売』。誰もが「何度終わるといっても、きっと再開するはずだ」と信じていて実際あっさり新シリーズスタートが発表された『バキ』シリーズとは対照的に、「やるといってるけど、本当に実現するのか?」と、あきらめと期待の入り交じった気持ちで見守られていた。今年4月に木多本人から再開準備中であるメッセージが公開されても、正直いつになるのか何ともいえない状況だったが、12月より無事『喧嘩稼業』とタイトルを改め、シリーズが再スタート。「みんなの妹」こと木多康昭の元気な姿を見せてくれた。
(文/ネルヤ編集部)

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