“幻の作品”も多数! 深夜に増殖するショートアニメ番組のカラクリに迫る!!

 その後80~90年代にはショートアニメは幼児向け知育番組内のコーナーとして定着する。例外的に87年フジ系列で深夜5分枠で放送された『レモンエンジェル』(おそらくは美少女深夜アニメの嚆矢)という例外などがあったものの、以降も基本的に“キッズ向け・マニア向けのアニメ番組は30分連続物枠”という編成が大きく崩れることはなかった。

 こうした旧来の流れと現在の深夜ショートアニメの盛況を支えている事情は、大きく異なっている。それは、アニメ原作を保有する出版社がスポンサー枠を確保している点に集約される。具体的には『まんがーる!』『ヤマノススメ』『てーきゅう』『血液型くん!』などはアース・スター エンターテイメントの提供番組。『森田さんは無口。』『ポヨポヨ観察日記』『ゆるめいつ』『しばいぬ子さん』『リコーダーとランドセル(1期・2期)』などは竹書房の提供番組である。これらの作品は、同出版社提供の30分枠アニメの直後に放映されるものも多く、中には作品同士でキャラクターがゲスト出演するコラボ企画なども行われており、ちょっとしたアニメフェス状態とも言えよう。

 出版社系ショートアニメの中では、大手である角川書店(現・KADOKAWA)の動きは他社とやや異なり、同社が保有するコンテンツの派生作品がメイン。『涼宮ハルヒの憂鬱』シリーズのスピンオフとして製作された『涼宮ハルヒちゃんの憂鬱』『にょろーん ちゅるやさん』、『らき☆すた』のスピンオフ『宮河家の空腹』を、ウェブ配信のメインとして力を入れている。

 いずれにせよ、こうしたコンテンツホルダーのブランドイメージを強くアピールすることを念頭に製作された出版社系ショートアニメが、現在の盛況ぶりを支える原動力となっているのは間違いない。

 さて、アニメファンにとってショートアニメ作品は、時間が短く気軽に楽しめることからいいことずくめに思えるが、ソフト化の際にはその時間尺と収録時間の関係が仇となり、なかなか発売されなかったり、ネット配信されなかったものがそのまま“幻の作品”化することもある。

 日本テレビの早朝情報バラエティ『ZIP!』内の1コーナーとして放映された『おはよう忍者隊ガッチャマン』は、原典の『科学忍者隊ガッチャマン』のみならずさまざまなパロディ要素を含んだギャグアニメの隠れた秀作なのだが、300話を超える莫大な話数のせいか、DVDは傑作選としてしかリリースされず、放映全話は収録されていない。この分では、現在放映中の『マジンガーZ』のパロディ版『マジンガーZIP!』もどうなるだろうか…?

 おりしも12月20日よりテレビ東京にて、押切蓮介のマンガ『プピポー!』が毎週金曜深夜のショートアニメ枠で放送されることが報道された。また竹書房から刊行されている安西理晃のマンガ『お姉ちゃんが来た』が、2014年1月よりショートアニメとして、UHFとAT-Xで放映される。

 さまざまな可能性を秘めるショートアニメという形態が、14年のアニメ界ではどのような話題を巻き起こしていき、新たなビジネスモデルを確立できるのか? 興味は尽きない。
(文/出口ナオト)

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