音楽的『ジョジョの奇妙な冒険』考察

「ノトーリアス・B.I.G」ら音楽的視点から考察する『ジョジョの奇妙な冒険』スタンドレビュー

■その能力は”死後”に花開く! 「ザ・ノトーリアス・B.I.G」に見る荒木飛呂彦の先見の明

1312_jojo01.jpgReady to Die(The Notorious B.I.G)

第五部『黄金の風』
スタンド使い:カルネ
スタンド:ノトーリアス・B.I.G
引用:The Notorious B.I.G

 ギャングスターを夢見る青年ジョルノ・ジョバァーナが主役となった第五部は、ギャング同士のバトルがメインとなった。名言やアクが強いキャラが多く人気が高い第五部だが、シリーズを見渡しても、非常に特異なスタンド能力を発現し、強烈なインパクトを残したのがカルネとその能力「ノトーリアス・B.I.G」である。

 “カルネ”とはイタリア語で“肉”。そして、スタンド名はヒップホップ界のレジェンドであるビギーことザ・ノトーリアス・B.I.G.が由来となっている。「俺のフロウはミスタの弾丸」など自身のウェブサイトの音声ブログでジョジョオタクっぷりを惜しみなく発揮するMCの般若をはじめ、数多くのヒップホップ・アーティストからも熱烈な支持を受けるジョジョ・シリーズだが、そんな彼らをも唸らせるキャラとして登場したのがカルネだ(ルックスはシリーズで一二を争う残念さだが)。

 本体であるカルネは、主人公一行がサルディニア島に向かう飛行場のシーンで突然現れる。ミスタに銃で威嚇されるも、不敵な表情を崩さず堂々と歩を進めるカルネだったが、ミスタが数発の銃弾をお見舞いすると、セリフを一言も発することなくあっけなく天に召されてしまった。しかし、ここからがカルネの本領発揮。彼のスタンド能力「ノトーリアス・B.I.G」は、本体が死んでから、その執念を不死身に近い力に変えて主人公一行を追い詰める。ここでポイントとなるのが、“死後”だ。

 ビギーはラッパーになる以前は、コカインのディーラーを生業にしていた(ジョルノやブチャラティが嫌いなタイプの)リアル・ギャングである。1994年にデビュー・アルバム「Ready To Die」をリリースし、一躍スターダムへと登り詰めたが、当時のヒップホップ・シーンは、第五部に象徴される血なまぐさいギャングの世界。ヒップホップ史の悲劇である“東西抗争”【註1】に巻き込まれ、ビギーは1997年に24歳の若さで暗殺されてしまう。しかし、彼の作品は“死後”にとんでもない記録を打ち立てる。生前にレコーディングしていたセカンド・アルバム「Life After Death」がその年にリリースされ、全世界で1000万枚以上(ヒップホップ作品としては史上2番目の記録)を売り上げ、正真正銘のレジェンドとなったのだ。アルバム・タイトルが自身の死を予見させ、奇しくも死後に力を発揮したという点で、カルネのスタンド・パワーはヒップホップ・フリークも納得の展開だったのである。

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