『もらとりあむタマ子』公開記念インタビュー

【対談】山下敦弘×高橋栄樹 戸惑いながら誰もが見つめずにいられない、“前田敦子”という特異点

山下 最近俺は、実は握手会がすごいことなんじゃないかなって思ってるんですよ。

高橋 『苦役列車』を観ていたら、(AKBの)握手会を思い出しました。本屋さんに前田さんがいて、そこで森山君が握手する感じが、ちょっとファンっぽいんですよ(笑)。

山下 あー、俺ぜんぜん意識してなかったです(笑)。

1312_mtamako_takahashi.jpg高橋栄樹監督

高橋 あれはひとり10秒足らずで、入れ替わり立ち代わりファンが来て去っていくわけで、その短い時間でAKBのメンバーは返さなきゃいけないんですよ。たとえば何度も握手に来る人もいて、そうすると「さっきの話の続きですけど……」みたいな話になるから、ある程度は記憶しておかないといけなかったりもする。握手会で鍛えられる反射神経もあると思います。

山下 あれは、受け流さないとダメになっちゃうでしょうね。10秒だけ瞬間的に相手に集中して、いなくなった瞬間にぜんぶ忘れるという。あの反射神経って、体に残ってるでしょうね。だからあっちゃんも、タマ子を一回身体に入れて、その瞬間はすごく記憶するんですけど、帰る頃にはないというような気がしますね。役を引きずるとか、そういうタイプではまったくないという気がします。

──9カ月間のスパンで撮影した『タマ子』では、反射神経じゃない部分も出ていますね。

山下 『タマ子』は特殊な映画で、最初の撮影から撮影終了まで9カ月かかっているんですけど、その間に3回集まって撮ってて、一回一回の撮影日数は短いんです。トータルで12日間なのですが、連続して長い日数をかけなかったのが良かった気がします。まだむかしの過密なスケジュールの体内時計が、あっちゃんの中に残ってると思うので。たとえば、20日間くらい連続で撮ったら、また別のタマ子になったと思うし。

高橋 長いスパンで、さらに地方都市で撮影することで、ゆっくり染まっていったんでしょうね。本人の素の部分も気兼ねなく出ているし、じっくり歩ける良さがあっただろうし。

山下 たしかに、変化はちゃんと記録できたと思います。9カ月間でゆっくりと役に馴染んでいく様子が見えました。脚本的にも、最初はなにもしない女の子が、最後は自分からちゃんと話して行動するという話で、あっちゃんも最後は長ゼリフも言えて、ちゃんとお芝居が出来て終わった感じがあったんですよね。

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