“ゲーム脳”でわかるゲーム業界 第1回

グリーが任天堂を“倒す”のは2098年!? 両社のステータスを徹底比較

1310_gree_vs_nintendo_2011.jpg

【2011年の任天堂のステータス】(単位/億円)
HP 15026 かいふく 776 会心率 16%(1710)
【2011年のグリーのステータス】(単位/億円)
HP 334 かいふく 182 会心率 48%(311)

 グリーが“任天堂の倒し方を知っていた”と思われる時代、つまり2011年末頃のグリーは、ソーシャルゲームの伸びを受け、2011年1月には1000円ほどであった株価が同年12月には2600円を超え、時価総額もピーク時に6500億円を超える超成長企業であった。成長過程である2011年6月期の「売上高営業利益率」(会心率)は48%であり、2011年3月期の任天堂の16%と比較してかなりの高収益モデルをもっていたことが数字からみてとれる(筆者計算)。この差が示す通り、グリーは任天堂よりも非常に高い収益率を誇っていたということだ。ゲーム的には、効率厨が歓喜するほどのDPS(Damage Per Second)だ。

 この時期の任天堂は円高、震災による売り上げ減、Wiiのハード寿命の終わりと苦しめられ、前期と比較して売上高、利益共に減少し、まだ黒字を保っているものの、既にかなり厳しい兆候が見て取れる時期であった。

1310_gree_vs_nintendo_2012.jpg

【2012年の任天堂のステータス】(単位/億円)
HP 14197 かいふく △432 会心率 △5%(△373)
【2012年のグリーのステータス】(単位/億円)
HP 793 かいふく 479 会心率 52%(827) 

 2012年になると、任天堂は上場以来初めての赤字に転落。一方、高会心率の厨武器を携えたグリーは上記の通り超成長を果たし、売上高が2倍以上に伸びたにも関わらず「売上高営業利益率」(会心率)も伸ばすという“メガシンカ”をやってのけるのである。「売上高営業利益率」を伸ばすというビジネスモデルこそが、任天堂の倒し方であったのか!

 ただ先に述べた通り、任天堂には強力な体力がある。上記の弱り始めた時期でも、任天堂は1兆4000億円を超える「利益剰余金」(HP)を持っていた。一方のグリーは高い収益率を持つものの、2011年6月期の「利益剰余金」(HP)が334億円、売上高を2倍以上伸ばした次期の2012年6月期で793億円である。グリーは“課金アイテム”という厨武器を持っていても、任天堂との体力差が実に18倍近くあったのだ。このペースで任天堂のHPに届くためには、単純計算で32年ほどかかることとなる。なので、グリーは2044年には任天堂を倒せるかもしれない。同時期に任天堂は800億円ほどHPを削られている(2011年3月期から2012年3月期の「利益剰余金」の差)。もし同じペースで任天堂が弱っていったとしても、グリーが追い付くのは11年後の2023年である(筆者計算)。

グリーが任天堂を“倒す”のは2098年!? 両社のステータスを徹底比較のページです。おたぽるは、ゲームスマホゲーム連載の最新ニュースをファンにいち早くお届けします。オタクに“なるほど”面白いおたぽる!

- -

人気記事ランキング

XLサイズ……
XLサイズって想像できないだけど!!