鉄道に込められた10％の愛を見つけ出そう！　ミュージカルにもなる鉄道擬人コミック『青春鉄道』

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『よりぬき青春鉄道』（メディアファクトリー）

　2015年11月18日〜23日の6日間、とうとうミュージカル上演が開催されることになった『青春鉄道（あおはるてつどう）』（作：青春（あおはる）／メディアファクトリー）は、なんと鉄道路線の擬人化コミックだ。1〜4巻の刊行の後、「2014年度版」、「2015年度版」と巻数表記をやめて連載を続けている。最新刊『よりぬき青春鉄道』では、文字通り厳選されたエピソードが満載で、コミック描き下ろしも収録されているため、まだ未読の方はこちらから読むのも良いかも知れない。11月27日には「2016年度版」（通算7巻目）の刊行も控えている本作の魅力について語ろう。

　まず、キャラクターの性格設定が非常に面白い。日本一の高収益路線である東海道新幹線は、稼ぐがゆえに非常に金に細かくうるさい。「遅延は1時間59分だ！　金は返さん！！」というセリフには、「ここまで言っていいのか？！」と心配になるほどだ。500系新幹線に思い入れの強い山陽新幹線は、イケメンなのに東海道に振り回されたり、九州との間を取り持ったりと、苦労が絶えない残念さん。愛社精神＆会長への愛と忠誠だけで動く西武鉄道や、さまざまな個性とアクのある在来線やメトロ、3セクなど、登場路線は90ほどもある。

　例えば呼び方は、新幹線は「上官」で、見た目も制服が違っていて少し偉そう。在来線は普通に路線の名前で呼び合っている。ちなみに「東海道」は新幹線と在来線があるので、在来線の方（弟）は「ジュニア」と呼ばれていたりする。田舎路線は見るからに田舎っぽく、方言をしゃべったり、農作業をしたり、雪だるまを作ったり。都営地下鉄とメトロは基本的に仲が悪いし、乗り入れをめぐっては「切った、切られた、浮気された」などの表現でコミカルに描写されている。実際に起こった台風や信号故障などでの遅延や運休なども、裏側の諸事情を絡めて描かれているので、そんな中を頑張っている鉄道路線には愛着さえ湧いてくる。

 
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