『神様、キサマを殺したい。』に見るヒロインと殺人者の奇妙な成長と変化…殺人を通してつむぐ絆!? 

 2013年から「ジャンプ改」にて連載を開始、現在電子版「ジャンプ+」に移籍して連載中のマンガ『神様、キサマを殺したい。』(作:松橋犬輔/すべて集英社)。リアルに「殺人」がテーマのこの作品は、さすがに「週刊少年ジャンプ」本誌には掲載しにくかったのかもしれないが、webでの人気は上々のようである。

 家族がヤクザや警察官に殺された過去を持つ、女子高生のヒロイン・咲村千穂は、天涯孤独の身。いっそ自分も自殺してしまおうと、廃墟のビルの屋上にやってきたところ、偶然殺人現場に遭遇してしまう。殺人犯は自分より年下の「マコちん」こと笛田マコト。自分も殺されそうになったが、千穂が自殺しようと決断した経緯をマコちんに説明すると、「君の家族を殺したやつらをオレが全員殺してあげる」と提案する。マコちんは最近、単調で成功し続ける殺人に飽き飽きしていた、本物の猟奇殺人鬼だったのだ。そして千穂の殺してほしい奴、全員を殺し終わったら、彼女のことも殺してくれると言う。一縷の望みに賭けた千穂は、マコちんと約束を交わすことに──。

 冒頭から殺人シーンで始まる「前代未聞のクライムサスペンス」と銘打たれたこの作品には、マコちんの「殺人鬼として成長したい」という願望がある。人を殺すことしか知らないマコちんの過去は、12話(3巻収録)で明らかにされるが、彼は幼い頃からすでに殺人鬼の片鱗を見せていたのだ。そしてやがて殺しあうことになる、凄腕猟師の老人・トヨ吉との邂逅。お互いに命を削って戦うシーンは、見ていて戦慄を覚えるほど。マコちんを千穂は完全には信用できず、勝手な動きをしては危機に陥ったりもするので、そちらのハラハラ感も絶妙だ。やがて徐々に千穂とマコちんの心の距離が近づいてくるが、トヨ吉に続いてさらに強力な敵が現れる。何度も絶体絶命の局面にぶつかるマコちんと千穂だったが、なんとかギリギリでかわしながら生き延びていく。

 1巻とそれ以降の巻の表紙のギャップに少し戸惑いを覚えるが、かわいい顔をして極悪なマコちんは、変装したり女装したりして千穂を窮地から救う。千穂もマコちんに頼るようになるが、殺しの対象が大物であるがゆえに、物語はどんどん熱く壮大になっていく。やがて全戦無敗のマコちんが初めて負けた時……彼はどうなってしまうのか!? マコちんと千穂は、一体「何」と戦っているのか? まだまだ連載は続いているので、この先のマコちんの成長と変化を見守りたい。
(文・桜木尚矢)

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