鉄道に込められた10％の愛を見つけ出そう！　ミュージカルにもなる鉄道擬人コミック『青春鉄道』

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　ここはまず、自分のよく利用する路線を見つけると良いかも知れない。そしてその交友範囲に目を向け、最終的に全体を見渡せるようになった時、もうすでに『青春鉄道』のファンになっていることだろう。個人的に、筆者の推しキャラは上越上官なのだが、上着の下に何も着けていないところや、他路線のお古車両ばかり回ってくる不遇、それを自虐的な笑顔で突っ込みながら受け入れる開き直りが好きだ。メトロの銀座さんは、普段は穏やかで優雅なのに、静かにキレるのがコワ面白い。いつも笑顔の人がキレると、どんな暴挙に出るかわからないという感じを想像していただけるとわかりやすいと思う。

　鉄道には興味がないという人でも、本作を読めば「鉄道も頑張っているんだ」という気持ちになるかも知れない。遅延などに遭っても少しは心を広く持てるかも！？　「この本は40％の妄想と30％のリアリティ、10％の鉄分、そして残りの10％は電車の本だと思って読むと撃沈する気持ちで出来ています。」という注意書き（？）が冒頭に書かれているが、「最後の10％はこの本のどこかにあります。それはきっと愛とかいうものです」と小さく添えられているのがたまらない。ちなみに作者の青春氏は、同人でも広く活動中。添えるなら筆者は、ご本人に会ったのに、恐れ多くて話しかけられなかったチキンです。
（文／桜木尚矢）

 
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